解説:マイクロソフトのクラウドビジネス急拡大を後押しする「隠れた基盤」

 マイクロソフトが7月6日に開催した経営方針説明会において、社長の樋口泰行氏は7月から始まる新年度の経営方針の柱として、「クラウドビジネスの拡大」を掲げ「今年度はクラウドに賭ける」と宣言した。

 「これまでオンプレミスのパッケージやライセンスを提供してきたマイクロソフトが、クラウドを強力に展開するというのは自己否定のように聞こえるかもしれない。しかし、この大きな流れを捉えて、クラウドにリソースをシフトする」と樋口氏は語る。実に、日本法人の社員の90%以上が、クラウド関連事業に関与することになるという。

 クラウドビジネスにおける同社の注力ポイントは、「社内体制の強化」「パートナーシップの推進」「オファリング拡充」の3点となる。中でも樋口氏は、「日本においてはソリューションパートナーとの連携が不可欠。これなしでは、日本におけるクラウドビジネスの成功はありえない」と、パートナー施策の重要性を強調する。

 すでに、オリックス・レンテック、協立情報通信、ソフトバンクBB、日立システムアンドサービス、富士ソフト、富士通システムソリューションズなどが、クラウドビジネスにおいてマイクロソフトとパートナーシップを結んでおり、これらパートナーからも実績が出始めている。同社によると現在、クラウド認定パートナーは350社。これを今年度中に1000社にまで拡大し、3年後には7000社に増やすという。

「7000社というのは、マイクロソフトと取り引きがあるすべてのパートナーが対象になる」(樋口氏)という規模だ。

 マイクロソフトが、クラウド認定パートナー制度を開始したのは約9カ月前だ。

Bertrand Launay氏 マイクロソフト執行役常務、ゼネラルビジネス担当のBertrand Launay氏

 マイクロソフト執行役常務、ゼネラルビジネス担当のBertrand Launay氏は、「マイクロソフトはオンプレミスとクラウドと両方のプロダクトを提供できるベンダー。その点にパートナーが魅力を感じており、それが短期間に350社にまでパートナーを拡大できた理由のひとつだ」と語る。

 マイクロソフトが言う「クラウド認定パートナー制度」は、「Microsoft Online Services認定パートナープログラム」と呼ばれるものだ。同じく同社のパートナー制度である「マイクロソフト認定パートナー」とは審査基準が異なり、「登録パートナー」として、より多くの企業が参加できる仕組みになっている。

 Microsoft Online Services認定パートナープログラムの審査基準については詳細が公表されていないが、いくつかのレベルが用意されており、その中の「登録パートナー」については、「マイクロソフト認定パートナー」で認定条件となる「同社の認定技術者(MCP)を2人雇用している」「有効な顧客事例を3件用意する」といった基準を満たさなくても、マイクロソフトの審査の上で加盟できるようになっているという。これも、クラウド認定パートナーを増やすことができた理由のひとつだといえよう。

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