ヤフーは5月27日、本社スタジオに国会議員4名を招き、「ネットで政治献金」に関する討論会を開催し、Ustreamで配信した。出席した議員は五十音順に公明党の魚住裕一郎氏、みんなの党の江田けんじ氏、自由民主党の小池百合子氏、そして民主党の細野豪志氏。魚住氏は参議院議員、ほかの3氏は衆議院議員。司会進行はヤフー法務本部長の別所直哉氏が担当した。
国会議員をやっていく上で、何にお金がかかるのか。4議員とも事務所経費、特に私設秘書の人件費が大きいという。江田氏は「私設秘書は3人いるが、それだけで年間2000万円近くかかる」。小池氏は「政治に参加したい、学びたいという人でないと私設秘書はやっていけない」。細野氏は「私設秘書は公設秘書と同じ仕事をしているのに、ほとんど給与出せず、申し訳ない」。魚住氏は「うちは私設秘書をおけない。調査でもボランティアに頼っているし、外国視察などもほとんどできない」と、それぞれ苦しい台所事情を明かした。
議員会館に最低1名、そして地元に最低3名の私設秘書がいないと、日常的な議員活動が回らないのだという。小池氏は「『あの議員のところはイベントに秘書が来てくれたけど、おたくは誰も来なかった』などと言われるのは非常につらい」と、候補者心理を語る。
そもそも国会議員は年間どのぐらいの費用がかかるのか。江田氏は「若手で年間4000万円ぐらい。中堅だと7000万円ぐらい、大物となると億単位は必要になるだろう」という。
現在、Yahoo!ではネットで政治献金ができるようになっている。まだYahoo!カードしか対応していないが、ほかのカード会社とも交渉中であり、できるだけフルラインアップでそろえられるようにしたいという。出席した議員からも、カード会社と交渉してきたという声があった。しかしカード会社が特定の政党と結びつくことに否定的であり、候補者のなりすましにどう対応していくかなど、課題が多く実現していない。その中で小池氏はオリジナルブランドのショッピングバッグなどをオフィシャルサイト内で販売し、活動費にあてたという。「政治献金という形のないものではなく、実際に物販だったのでカード会社も問題なかったようです」。
Yahoo!みんなの政治を通じたネット献金は、今のところ1回につき1000円から5万円までと限定されている。政治資金規正法では個人献金の上限は年間3000万円、1人の政治家に対しては資金管理団体へ150万円までとなっている。だが、ネット献金は数万円といったオーダーではなく、500円、1000円という単位がふさわしいのではないかというのが、各議員の意見だった。小池氏は2008年の米国大統領選挙を振り返って「オバマ・マケインのクリック合戦を見ていて、やはり10円でも出せば国民の意識は違ってくると実感した。まとまった金額をポンと出すのではなく、日頃の活動に対して少額献金することで、政治参加の実感を持って欲しい」という。
細野氏は「これまで、政治家は支持団体に対して活動実績をアピールしてくれば良かったけれど、これからは個々人に伝えていかなければならない。議員同士の競争は激しくなるでしょうね」と述べた。
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