パナソニックは5月7日、2010〜2012年度(2010年4月〜2013年3月)までの新中期計画を発表した。エナジーシステム、ネットワークAVなどの6事業を、グループの重点事業に据え、売上高10兆円を目指す。
新中期計画は「Green Transformation 2012(GT12)」。エナジーなど新領域の事業に取り組むほか、グローバル志向、ソリューションシステム志向など、成長へのパラダイム転換をするとともに、環境革新企業への基盤づくりと位置づけている。
パナソニックの代表取締役社長 大坪文雄氏はGT12のグループ経営目標として、売上高10兆円、営業利益率5%以上、CO2削減貢献量5000万トン(2005年度基準)などを掲げた。重点事業の中でも「グループのフラッグシップ事業」(大坪氏)と位置づけたエナジーシステム事業の2012年度の売上高を8500億円に据えたほか、新興国市場での売り上げ拡大、システム・設備事業売り上げの伸長などの指標を発表した。
重点事業と位置づけられたのは、太陽電池、燃料電池などのエナジーシステム、エアコン、空気清浄機などの「冷熱コンディショニング」、薄型テレビ、デジタルカメラなどの「ネットワークAV」の中核事業と、今後、柱になると予測される「セキュリティ」「ヘルスケア」「LED」などの計6事業。2012年度までにこれら6事業全体で、1兆2000億円の増販を目指すという。
三洋電機の子会社化とあわせ、グループのフラッグシップ事業となるエナジーシステムでは、太陽電池のグローバルで販売容量を900メガワットに引き上げて国内1位、2015年度には世界トップ3という目標を掲げて、取り組む。現在三洋電機が展開するHIT太陽電池を、パナソニックブランドで7月1日に発売するほか、次世代太陽電池の開発に着手することも表明した。次世代太陽電池の開発には、尼崎のプラズマパネル工場を活用する予定で、パナソニックのノウハウ、リソースを投入する。
一方リチウムイオン電池では、2012年度の売上高目標を5000億円とし、グローバルシェアトップを堅持する構え。三洋電機とのコラボセルの開発、コラボラインを導入することなども明らかにした。
薄型テレビ、デジタルカメラなどを有するネットワークAV事業は、「プラズマテレビは3Dの優位性を徹底追求し、液晶テレビではLEDバックライトモデルを拡大する」(大坪氏)とのこと。2012年度までにプラズマテレビの3D構成比を70%、液晶テレビのLED構成比を60%にまで拡大し、商品力を強化する。
テレビ以外では、デジタルスチルカメラ「LUMIX」の業界トップ3入りを狙う。一眼カメラ事業でシェア10%以上を目指すほか、コンパクトカメラ事業では新興国を中心に新規需要を取り込む。これによりネットワークAV事業全体で、売上高を2009年度の1兆6000億円から2012年度は2兆1500億円へ、年平均10%の成長を狙う。
海外事業の拡大に関しては、BRICsのほかメキシコやインドネシア、ナイジェリアなどを含めた新興国で年平均成長率20%の大増販を目指す。「大増販の核となる新興国市場では、海外現地での生活研究を強化する」(大坪氏)としており、ボリュームゾーン商品戦略についても加速させる方針だ。具体例として簡易台座を使用したインドの液晶テレビや、中国の節水洗濯機などの商品も紹介した。いずれも生活研究の中から開発された商品であり、これらの取り組みで、2012年度にはボリュームゾーン商品の売上高を1兆円規模へ拡大するとしている
また、子会社化した三洋電機とのコラボレーションについては、2012年度のシナジー効果を営業利益ベースで800億円以上になると予測。具体的な取り組みについては、グループビジョンの統一や倉庫、事務所といったインフラの共用などを挙げたほか、白物家電などのアプライアンス事業においては開発を一元化すると発表した
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」