NECは5月7日、インターネット上で違法にアップロードされたコピー動画を、瞬時に自動検出可能な映像識別技術を開発したと発表した。
同技術は、オリジナルの動画から映像を識別するための指紋情報(ビデオシグネチャ)を生成し、他の動画と照合するもの。改変動画の識別にシグネチャを用いることで、国際標準化機関のテストでは、平均96%という高い識別率と、5ppm(100万分の5)の低い誤検出率との両立を実証したとしている。これにより、従来検出が不可能であった2秒程度の短いシーンでも正しく検出できるという。
また、シグネチャを1フレームあたり76バイトとコンパクトに設計することで、照合に用いる動画の特徴量を保持するために必要なメモリ容量を大幅に抑制したため、家庭用パソコン程度の処理能力でも動作が可能だという。さらに、単純にコピーした動画だけでなく、テロップ挿入やカメラ撮影、アナログコピーといった形でのデータ改変を伴っている動画でも、高速、高精度に検出可能だとしている。
現在、違法なコピー動画の流出防止には、目視による確認、あらかじめコンテンツに埋め込んだ特殊なコードをもとにした自動識別(電子透かし)、色配置状況等を勘案した類似検索などの方法が利用されている。しかしこれらの方法では、膨大な量のコンテンツの確認および短く切り出した動画や改変された動画の発見は困難だったという。
NECは、同技術を用いることで、コンテンツ権利者や配信サービス事業者は、オリジナルの映像をあらかじめ登録しておけば、違法コピー動画の自動検出や違法アップロードの事前ブロックが可能になるとしている。これにより、従来は目視に頼っていたコピー動画の流通監視を自動で行えるため、高精度、大規模な監視を効率的に実現できるという。
なお、同技術はISO/IEC JTC 1/SC 29から、動画の識別方法に関する国際標準規格「MPEG-7 Video signature Tools」として規格化される予定だ。
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