シャープ、黒字転換--今期は3Dテレビ市場に参入意欲

加納恵(編集部)2010年04月28日 08時00分

 シャープは4月27日、2010年3月期(2009年4月〜2010年3月)の連結業績を発表した。エレクトロニクス部門の売り上げ回復などにより、売上高、各利益ともに前回予想を上回る結果となった。

 売上高は対前年比3.2%減の2兆7559億円、営業利益と経常利益、当期純利益はともに2009年3月期から一転して黒字を確保。営業利益は519億円(2009年3月期で554億円の赤字)、経常利益は309億円(同824億円 の赤字)、当期純利益は43億円(同1258億円の赤字)となっている。

 シャープは、景気持ち直しの動きが見られたものの、失業率が高く総じて厳しい状況だったと2010年3月期を分析した。そうした市場を背景に黒字転換できた理由を、エレクトロニクス機器部門の売り上げ回復、大阪・堺の「グリーンフロント 堺」内にある液晶工場稼働による生産販売の増加、経費削減効果などによるものと説明している。

 2009年10月に稼働したグリーンフロント 堺では、液晶工場で第10世代のマザーガラスと独自の光配向技術を用いた次世代液晶パネル「UV2A」を製造。コスト力の向上と高画質化、低消費電力化を実現した。3月には薄膜太陽電池工場も稼働している。

 液晶パネルと太陽電池に関しては、他社との協業も盛んだ。液晶パネルでは、ソニーと大型液晶パネル、液晶モジュールの製造販売事業に関する合弁会社を設立。国外でも中国南京市で第6世代液晶パネル生産プロジェクトを受注、イタリアにおける薄膜太陽電池の生産事業、太陽光発電事業に関する合弁契約を締結し、新たなビジネスモデルの構築に取り組んでいる。

 今期は、5月の発表を表明しているUV2A技術、4原色技術を搭載した3D対応テレビの市場投入に取り組むとのこと。携帯電話については、特長デバイスを搭載した端末やスマートフォンなどの高機能端末により、シェアアップとブランド構築を目指すとしている。

 2011年3月期(2010年4月〜2011年3月)の通期予想は、売上高が前の期と比べて12.5%増の3兆1000億円、営業利益が1200億円、経常利益は950億円、純利益は500億円としている。

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