シャープ、4原色3D液晶ディスプレイを開発--製品発表は5月

加納恵(編集部)2010年04月13日 08時00分

 シャープは、大画面の3D液晶ディスプレイを開発したと発表した。R(赤)、G(緑)、B(青)の3色にY(黄)を加えた4原色技術を搭載し、明るく色再現範囲の広い、3D映像を再現するという。3D方式は専用メガネを使用するアクティブシャッターメガネ方式を採用する。

シャープ代表取締役副社長執行役員の松本雅史氏 シャープ代表取締役副社長執行役員の松本雅史氏

 シャープ代表取締役副社長執行役員の松本雅史氏は「シャープでは2002年に携帯電話、2003年にノートPCの3D液晶ディスプレイ搭載機を発表した。世界初の製品を発売し、3Dディスプレイのリーディングカンパニーと自負している。今回、満を持して登場した大画面用の3Dディスプレイは、暗くて見にくいという3Dテレビの課題を、オンリーワン技術によって克服した」と話した。

 また「3Dパネルの量産は近々に開始する。日本国内では5月に製品を発表する。欧米、中国などの海外向けには2010年度中に展開する予定だ」(松本氏)と発表時期を明らかにした。

 3D液晶ディスプレイは、光開口率が高く色再現力に優れる次世代液晶パネル技術「UV2A」、RGBの3色にYを加えた4原色技術、3Dテレビ向けの信号処理技術「FRED技術」、バックライト技術「サイドマウントスキャニングLEDバックライト技術」という、4つの独自技術を用いて開発されたもの。明るさ不足、クロストークの発生、映像の鮮やかさの低下といった3Dテレビの課題を、これらの技術によりクリアしているという。

 中でも明るさに関しては、2Dテレビ同等の明るさ感を確保するには、2Dテレビの18%以上の輝度が必要という計算の元、4つの技術を掛け合わせることで、光利用効率を1.8倍にまで向上させたとのこと。

 そのほか、LEDバックライトの駆動方法を多分割でスキャン点灯させるサイドマウントスキャニングLED-BL、開口率を10%アップさせ、高輝度、低消費電力を実現するシングル信号配線240Hz駆動を採用したFRED技術などがクロストークの低減に寄与しているとのことだ。

  • 4つのオンリーワン技術が3Dテレビの3つの課題克服に寄与している

  • 3Dテレビでは2Dテレビの18%以上の輝度が必要だという

 シャープでは、4月2日にモバイル端末向けのタッチパネル付き3D液晶ディスプレイの開発を発表。これに対しては「国内外から多くの問い合わせをいただき、市場の反響の大きさを実感している」(松本氏)とコメントした。

  • 発表会場では60V型の試作機が展示されていた

  • 3D視聴用の専用メガネ

  • RGB3原色を用いた液晶テレビ(左)とYを加えた「4原色技術」(右)の画面比較

  • 4月2日に開発発表されたモバイル端末向けの3D液晶パネルの試作品も展示されていた。写真は10.6型

上下2分割スキャニングバックライト(左)とサイドマウントスキャニングLEDバックライト技術(右)の比較

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