欧州の裁判所が下した判決によると、Googleがオンライン広告主に対し、企業の商標とまったく同じキーワードを利用することを認めても、そうした商標の侵害にはあたらないという。
欧州連合(EU)の司法裁判所は現地時間3月23日、高級ブランドのLouis Vuittonと他の2社が起こした商標権侵害訴訟で、Googleに無罪を言い渡した。LVMH Moet Hennessy Louis Vuittonが所有する企業の1つであるLouis Vuittonは、自社の商標を他の広告主が「Google AdWords」の検索キーワードとして利用することを、検索大手のGoogleが許可することにより権利を侵害していると主張していた。原告側が問題にしたのは、こうしたキーワードの利用により、検索結果の画面で、商標登録された製品の隣に競合製品が表示される可能性があることだ。
ルクセンブルクに拠点を置く司法裁判所は3月23日、Googleの過失責任を認めず、「Googleは、ライバル企業の商標と一致するキーワードの購入を広告主に認めることによって、商標法に違反しているわけではない」との声明を発表した。だが今回の判決で、Googleがこの件から完全に解放されたわけではない。
司法裁判所は、商標権所有者が権利を侵害されたと訴える場合、Googleには広告を削除する義務があるという判断も示した。同裁判所は、GoogleがAdWordsを自主的に取り締まり、権利の侵害を追跡して取り除く責任を負うかどうかという問題を回避し、国の裁判所が検証すべき問題だと述べた。
今回の判決がはっきり示したのは、登録商標権侵害の過失責任が、Googleではなくオンライン広告主にあると認められる可能性があるという点だ。
司法裁判所は声明で次のように述べた。「しかし、広告主自身は、こうしたキーワードの利用により、Googleに対して、インターネットユーザーが問題の広告に掲載された製品やサービスの提供元を容易に判断できない広告を表示するよう手配することはできない」
Googleは3月23日のブログ投稿で、商標権を侵害していないと判決で認められたと述べた。同社は、この訴訟が、ウェブ検索を行うユーザーが入手可能な情報を制限しようとするものだと主張していた。
欧州での訴訟を担当するGoogleの上級顧問、Harjinder Obhi氏が書いたこのブログ投稿には、Googleは厳しい方針も実施して偽造品の広告を阻止する、商標権所有者と協力し偽造者を見つけて対処する、という文も付け加えられている。偽造品の広告や販売は、LVMHなどの企業にとって懸念材料であり、eBayやGoogleに対して訴訟を起こす原因となっている。
LVMHは、オンライン広告主が商標権所有者の同意なしに商標を利用することはできない、とする裁判所の裁定を歓迎し、声明で次のように述べた。「長い間待ち望まれた今回の判決は、ビジネス界と消費者に歓迎されるだろう。判決は、ダイナミックな経済において企業が行う革新と投資を守るうえで、商標権が果たす重要な役割を確認し強調するものだ」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス