GMOインターネットグループは3月18日、ソーシャルアプリ開発支援プロジェクト「アプリやろうぜ!by GMO」のキックオフカンファレンスを開催した。
このプロジェクトは、GMOインターネットグループが2月24日に発表したもの。mixiをはじめモバゲータウン、GREEの3プラットフォーム向けにソーシャルアプリを開発するクリエイターとエンジニアを対象に、総額3億円の開発支援をする。具体的な内容は大きく分けて次の5つ。
このほか、アプリのサービス開始後についても、技術サポートやサーバの優先提供、資金提供などを予定する。
参加対象は個人、法人、チームを問わない。ただしエントリー時にmixiアプリ上位10位以内のアプリの開発支援は対象にならないほか、3年以内にベンチャーキャピタルから出資を受けている法人は対象外となる。
同プロジェクトで推奨するのは、人気ランキング上位を目指せるもの、かつオリジナル性があり、アイテム課金などで収益が期待できるソーシャルアプリ。開発したアプリの権利は開発者に帰属する。収益についてはプラットフォーマーの取り分を除いて8対2の比率で開発者とプロジェクトに分配する形となる。
同日より3月31日までプロジェクトのウェブサイトで応募を受付し、4月1日より書類選考を実施する。書類選考後の最終面談を経て、4月末にもプロジェクト参加者が決定する。その後6〜8月にアプリをリリースして、11月にも成果を判定。優秀なアプリ開発者に対しては、12月に優秀賞を授与する予定だ。
カンファレンスの冒頭に登壇したGMOインターネット代表取締役会長兼社長でグループ代表の熊谷正寿氏は「なぜGMOがソーシャルアプリと思った方もいるかも知れない。しかしmixiやモバゲータウンがプラットフォームを開放してから『ソーシャルアプリをやりたいがきっかけがない、受託をやっているが本当はソーシャルアプリをやりたい、サーバの運用技術のハードルが高い』という声を多く聞いた」とコメント。そういったニーズに対して「GMOグループが得意とするサーバ運用のノウハウと、クリエーターやエンジニアの力を組み合わせることで、ソーシャルアプリの大きな風を吹かせることができる」(熊谷氏)という思いから、プロジェクト開始に至ったと説明した。
プロジェクトでは、開発者の収益を8対2で分配することになっているが、「やるからにはボランティアでは意味がない」とし、「(プロジェクトは)最初の一歩かも知れないが、この一歩がないとできない。ソーシャルアプリを通じて日本を元気にしていきたい」と期待を語った。
ソーシャルアプリ開発企業の共同創業をしているブレークスルーパートナーズ マネージングディレクターの赤羽雄二氏の赤羽雄二氏は、Facebookを中心にして、ソーシャルアプリを取り巻く状況について紹介した。
Facebookの月間アクティブユーザーはすでに4億人超で、そのうちモバイルユーザーは1億人超。現在もユーザーは1週間に500万人以上増加している。またすでに、70%が米国外のユーザーになっており、国によっては成長率が年10倍という状況。日本のユーザー数は明らかにされていないが、200万人とも言われる。さらにユーザーの過半数が女性で、1人平均130人の友達登録をするという大きなソーシャルグラフを持っている。最近では日本支社も設立しており、開発者も米国から参加している。
このFacebook上では現在、アクティブなアプリの数が50万以上あり、月間アクティブユーザー(MAU)100万人以上のアプリが250以上ある。また、Facebookのプロフィールデータや認証情報を外部サイトで利用できる「Facebook Connect」の導入サイトは8万以上に上る。最も人気のある農場ゲーム「FarmVille」は月間8299万ユーザーが利用している。
このように驚異的な成長を見せるFacebookだが、APIを公開したのは2007年5月。ソーシャルアプリプロバイダー(SAP)として爆発的な成長を見せるZyngaの設立も2007年7月と、ソーシャルアプリが米国で立ちあがってからまだ2年半。赤羽氏は「日本のオープンプラットフォーム化は数カ月前に始まったばかり。まだ間に合う」と語る。
加えて赤羽氏は今後のソーシャルアプリ市場の成長について可能性を語る。国内のプラットフォームが広がることで、市場規模は2500万〜3000万人に拡大するほか、Facebookが本格的に国内参入することで市場に変化がおこると語る。日本発のソーシャルアプリの海外進出についても期待を寄せる。
また、ソーシャルアプリの開発に重要な要素として、(ソーシャルでない)ゲーム開発における経験が大きく生きてくると説明する。しかしその一方で、少人数かつ3〜4カ月の短期間で開発し、リリース後もユーザーの反応を解析しつつ頻繁にアップデートをするという独特な開発スタイルがあるとも述べ、「大きな資金投入は不要。知恵と技術力とスピードとコミュニケーションが重要。非常に新しい分野で、イノベーションが続々と生まれており、がんばっただけ成果が出る。世界相手に挑戦するチャンス」とした。
カンファレンスでは、プロジェクトの対象となるプラットフォーマー3社も登場し、それぞれプラットフォームの現状や取り組みなどを紹介した。
「『ソーシャルアプリ』『ソーシャルゲーム』という言葉がない時代からゲーム開発に取り組み、新しいカテゴリを開発してきた」と語るのはGREEを運営するグリー代表取締役の田中良和氏だ。
同社では3月にもGREEのオープンプラットフォーム「GREE Platform」を公開する予定。すでに500〜600社がパートナーとして応募しているという。
GREEは当初ソーシャルゲームを前面に押し出すが、将来的にはユーティリティーツールやコミュニケーションツールなど、さまざまなソーシャルアプリを提供することを想定しているという。
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