iPadの発表イベントは、単なるマーケット戦略ではなく、iPadアプリを作ろうとする人々にそれとなく挑戦するものでもあった。Appleは自社のiPadアプリによって、非常に高いハードルを設定している。「iBooks」や「iCal」のような、機能豊富で他とはっきり異なるインタラクティブなアプリケーションを見せることで、Appleはデベロッパーに向けて、この新しいプラットフォームでは何ができて何をするべきかを示唆している。
「デベロッパーの視点から見れば、iPadはより大きな努力を必要とするだろう。きちんと機能して、スクリーンサイズを活用していると感じられるインターフェースの設計に時間をかける必要がある」(Grove氏)
iBooksやiCalの隣で目立つようなアプリを作るには、月並みなiPhoneアプリを作るときのように数週間ではなく、作業できるデベロッパーの人数によっては、おそらく数カ月かかるだろう。Groves氏の場合、作業できるのは自分ともう1人のデザイナーだけだ。App Storeで60のゲームを販売し、iPhoneプラットフォームで作業するデベロッパーが800人いるGameloftのような大手モバイル向け開発企業でも、やはりiPad対応アプリへアップグレードするにはさらに多くの作業が必要になる。
Gameloftのパブリッシング担当バイスプレジデントBaudouin Corman氏は、Gameloftはできるだけ多くのゲームをiPad用に書き換える予定だが、全ゲームを対象とするという選択肢は現実的でないとしている。「60のゲームすべてを最適化することはできない。基本的に、大きなスクリーンで意味を持つものをいくつか選ばなければならない」(Corman氏)
Daigle氏は、このようなことは余分な作業ではあるが、App Storeの買い物客が気に留めるだろうから、それだけの価値はあると言う。「良い有料アプリと無料アプリの違いは大きくなるだろう。無料アプリは、かなり無料っぽく見えるようになる」(Daigle氏)
これは決して無料アプリを中傷しているわけではないが、うまく設計されたアプリとあまり考えられていないアプリの差は一目瞭然のはずだということだ。Daigle氏によれば、単にユーザーが「2x」ボタンをクリックして拡大できるようにするというのは、及第点の解決策だが、デザイナーやデベロッパーが頼るべきものではないという。
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