アップルの特許訴訟--HTCが標的になった理由 - (page 3)

文:Marguerite Reardon(CNET News) 翻訳校正:川村インターナショナル2010年03月09日 07時30分

 HTCが選ばれた主な理由としてもう1つ考えられるのは、同社が現在Appleにとって最大の脅威となっていることだ。HTCは、「Android」携帯電話を最初に作り始めた携帯電話機メーカーだ。現在5つのモデルを販売しており、2月のMobile World Congressでは、さらに2機種のAndroid端末「HTC Legend」と「HTC Desire」を発表した。これらの電話機は最新のAndroidソフトウェアを搭載している。また、より丸みを帯びた、ソフトで滑らかなデザインで、さらにiPhoneに似ている。機能の面でも、いくつかの点でiPhoneに匹敵し、iPhoneを超えている点すらある。

 HTCは、Android製品ラインを拡張しているだけでなく、「Windows Mobile」ソフトウェアを使用する携帯電話機のおよそ80%を製造している。そして、新しい「Windows Phone 7」OSを使用したスマートフォンを市場に出す最初の携帯電話機メーカーになる可能性が高い。このOSは、特にタッチスクリーン式携帯電話機のために設計されており、iPhoneにとって脅威となる可能性がある。

 AppleがAndroidに神経質になるのには、もっともな理由がある。IDCなどの市場調査会社は、今後5年間で、スマートフォン向けOSのうちGoogleのAndroidが最も速く市場シェアを伸ばすだろうと予測している。IDCの予測では、2013年までに、Androidが世界で2番目に多く使われているスマートフォン向けOSになるという。

 現在、主にNokiaの電話機で使用されている「Symbian OS」が、世界のスマートフォン向けOS市場を支配している。「BlackBerry」のメーカーであるResearch In Motion(RIM)が現在第2位の地位を占めており、Appleは世界で第3位だ。しかし2013年までには、Androidが、世界第2位のOSプロバイダーであるRIMを打ち負かし、Appleを米国における第2位の地位から押しのけると予想されている。

次の一手は

 GoogleがAppleにとってこれほど大きな脅威なのだとしたら、なぜAppleは単純にGoogleを追求しないのだろうか。これは的を射た問いだ。1つには、AppleはGoogleの緊密なパートナーでもあるという理由が考えられる。AppleのコンピュータやiPhone、「iPod touch」、そして間もなくiPadで動作するSafariから送られてくる検索リクエストに対し、GoogleはAppleに多額の金銭を支払っている。Appleはまた、iPhoneに「Google Maps」や「Google Earth」など多くのGoogleアプリケーションを搭載している。

 Appleは、HTCに積極的な戦いを挑むことで、Googleを直接追求せずとも、自らの望むものを手に入れられるかもしれない。MotorolaやSony EricssonなどほかのAndroid携帯電話メーカーが、Appleの標的となることを避けようとする可能性もある。そうなれば、これらのメーカーは製品を変更し、自社のAndroid携帯電話やWindows Phone 7携帯電話の外見や動作がiPhoneと同じにならないようにするだろう。

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