Appleが2009年に実施した監査により、同社が定める規範に従うサプライヤー(納入業者)が増えているとはいえ、これらの業者の職場で、就労年齢に達しない労働者の雇用を含め、違反が数多く見つかったという。
「Supplier Responsibility 2010 Progress Report(PDFファイル)」と題された調査報告書によると、Appleが納入業者に対して2009年に実施した監査で、17件の重大な違反が見つかったという。Appleはこれらの行為について、同社の「Supplier Code of Conduct」(サプライヤー行動規範)の重要な指針に反する非常に深刻な慣行や状況だと考えている。
違反の内訳を見ると、就労年齢に達しない労働者の雇用が3件、認可を受けていない業者に有害廃棄物を処分させた例が3件、監査の際に虚偽の報告書を提出した例が3件、法外な就職斡旋手数料の徴収が8件だった。
サプライヤー行動規範と実地監査は、労働者の権利を保護することと、工場の労働条件を改善することを目的としている。
Appleは、違反行為を行った業者の名称や国籍については公表しなかった。
就労年齢に達しない労働者を雇用したケースでは、最低就労年齢が16歳と定められている国で、3つの施設が15歳の労働者を働かせていた。Appleによると、ほかにも最低就労年齢に達しないうちに雇用された労働者が11人いたが、今ではすでに最低就労年齢に達しているか、もはや当該施設で実質的に雇用されていないという。
Appleは、これらの労働者がどのようにして雇用されることになったのかを調査したあと、違反した施設に対し、IDチェックと確認手続きの徹底によって今後このような違反をなくすよう求めた、と述べた。
有害廃棄物を処分したケースでは、Appleは3つの施設に対して、廃棄物の搬出を中止し、認可業者と契約するとともに、外部のコンサルタントに依頼して有害廃棄物の管理システムを徹底的に調査させるよう求めた。同社はまた、これらの施設に対し、すぐに排水処理システムの調査を行うよう促した。
虚偽の報告書を提出した納入業者のうち、1社は就労年齢に達しない労働者を雇用した記録を隠そうとし、2社は労働時間と休日に関する違反を隠そうとした。
法外な就職斡旋手数料の徴収が判明したケースについて、Appleは制限を超えた分を返金するようサプライヤーに求めた。Appleによると、過去2年間で220万ドルの過払い手数料が外国人労働者に返金されたという。
2009年には、Appleは102の施設で実地調査を実施した。そのうち、(「Mac」「iPhone」などの製品を組み立てている)最終組み立てメーカーについて全社を対象に毎年監査を実施しているが、(液晶ディスプレイやハードディスク、キーボードなどのほか、オフィス用品を納入している)部品メーカーや非製造業者を対象とするのは初めてだった。また、過去に重大な違反が見つかった15の施設に対する再監査も含まれている。
Appleは報告書の中で、「全般的に、最終組み立てメーカーを対象とした年次監査では、引き続きパフォーマンスの向上と労働条件の改善が見られた」と述べた。
同社によると、合計で13万3000人以上の労働者、スーパーバイザー、マネージャーらが、労働者の権利と管理の責任について研修を受けたという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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