広報担当者向けの業界誌PRWeekのエグゼクティブエディターを務めるErica Iacono氏は、現時点でそうした企業にできることは、Googleが最後までその脅しをつらぬくかどうかを見守ること以外にない、と述べている。「このような状況では、消費者の怒りなどが時間の経過とともに大きくなって対応せざるを得なくなるまで、企業は対応しない」(Iacono氏)
確かに、米YahooとMicrosoftの関係者は、Googleの突然の発表の後、中国に関する自社の計画について大まかな意見しか述べていない。Microsoftは、同社がその攻撃の被害者ではないという以外はコメントを控えている。Yahooはこの攻撃について肯定も否定もしようとしない。Yahooは、このサイバー攻撃が「非常に憂慮すべき」ものだと思うとは述べているが、これは、インターネット企業にとってみれば、飲酒運転に反対する母親の会(Mothers Against Drunk Driving:MADD)に、ビールの注ぎ口が付いた自動車のダッシュボードを非難させるようなものだ。
しかし水面下では、中国で事業を行う企業の幹部レベルで、次の一手についての議論が行われている。それは難しい判断だ。Googleが理にかなった見解を示していると大筋で受け取られた後では、Googleを攻撃する立場に立つわけにはゆかない。また、Googleの中国からの撤退によってできるであろう空白を性急に埋め、この状況を利用したと見られるわけにもいかない。
他社は、Googleが最初に撤退という道を行くかどうかを知るまでは、同じような中国撤退計画を発表することはできない。さらに、政権の道具のように見られることなく、中国に対するコミットメントをあたらめて明言することもできない。要するに、Googleが中国に立ち向かうことで、たとえそれが検閲に対する立場の転換と同時にサイバー攻撃の結果であったとしても、国際社会の熱いまなざしを浴びている一方で、他社は身動きがとれなくなっている。
そのため、ほかの企業にとって、中国での立場をはっきりさせるために今すぐできることはほとんどないものの、最初の一歩は、米国政府に対して、今こそ中国のビジネス環境について何かをするよう働きかけることのはずだ。
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