2009年、通信業界のキートピックを振り返る - (page 3)

渡辺聡(株式会社企)2009年12月30日 09時00分
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ネット及び通信規制改革

 政策サイドの議論に振れたところで、最後は簡単に。2009年以前からの動きであるが、ネット規制をどうするかというのが世界的なテーマとなっており、2010年も推移から察するに動きは変わらないことに間違いない。著作権、プライバシーやユーザー情報の取り扱いなど、政府の末席でお手伝いしつつ動向をチェックしているが、近いところでも欧州フランスの動きを受け社団法人 日本音楽著作権協会(JASRAC)がスリーストライク法案(※編集部注:繰り返し著作権侵害コンテンツをダウンロードしたユーザーの通信を切断する法案)導入を検討しているといった発言をするなど、戦いの様相は止まるどころかむしろ先鋭化する気配すらある。

 スペースの都合から個別仔細には触れないが、ダビング10が放送コンテンツの録画コピー機能を定義しているように、製品仕様やサービス設計のあり方をメーカーの方針ではなく法制度やガイドラインが直接規定しているケース、あるいは検索サービスのキャッシュが著作権法の解釈上“白”ではなかったため日本国内に検索サーバをずっと置けなかったケースのような、事業を営めるか否かというところに法律がタッチする事案が各所で遡上に上がっている。他にもここ数カ月動きが出ているのは、放送コンテンツのIPネットワーク(つまりはインターネット)での再配信、いわゆるサイマル放送に関わる権利処理や事業免許の解釈論争などだ。

 むやみに政策通ぶることもないのだが、自分たちの関わるテーマについてはちらちらと眺めておいて良いところだろう。特に政治サイドの事情や海外事案から影響を受けて事態が動く場合、国内事案だと穏当に行っていたはずのものが突如暴力的な話に飛んでしまうことも珍しくない。Googleの書籍検索サービスが2009年に起きた典型的なケースと言える。真に突発的なところは起きてから対処とするしかないが、トレンドの探れるところは対処シナリオも含めて議論くらいはしておかないと、事案に動きの出た場合に、対策の早い近隣競合に後れを取るだけになってしまう。

 そして、忘れてはならないのは、ネットの、あるいはモバイルサービスの議論ということは、経路はあらかた通信である、ということである。ユーザーログの取り扱いは通信の秘密とのバランスをどう取るかなどの議論に展開しかかっている。また、上記スリーストライク法案の件はブロードバンドサービスの提供制約の議論と重なっている。いずれもネット界だけの議論とは、いい加減言えなくなってきている。省庁機能整理の話も交え、総務省や経済産業省の動きは引き続き把握しておくべき、というところとなろう。

 その他、放送サイドの課題が重くなりそうなことから本項のテーマとしては外したが、2011年には「通信と放送の融合」のマイルストーンとして示されている地上波テレビ放送のデジタル移行が行われる。2010年はこの区切りまであと1年というタイミングとなる。各トピックの細かい動向がどうなるかはともかく、議論の絶えない年になることは間違いないところだろう。

渡辺 聡

株式会社企

代表取締役

2004年より「情報化社会の航海図」を連載している古参のブロガー。コンサルタント。2008年にクロサカタツヤと株式会社企(くわだて)を設立。代表取締役。企社を通して各社の新規事業開発や事業設計を中心としたコンサルティングや経営戦略・資本政策などのアドバイザリーから情報通信政策の支援を行っている。主著に「マーケティング2.0」など。

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