日本のITベンダーは温室効果ガス削減に大きなポテンシャルを秘めている――IDC Japanのグループディレクターである和田英穂氏は、12月15日に開催した「2010年国内IT市場の主要10項目」に関する説明会で、このように主張した。
和田氏によると、世界経済は以前のような状態に戻ることはなく今の経済が常態化する、いわゆる「ニューノーマル(New Normal)」になったとしている。米国の過剰消費が修正され、新興国は内需主導に移行。成長のエンジンが日米欧から新興国に、経済の中心が金融から環境に移り変わるという。
注目される環境の分野では、鳩山首相が1990年比で2020年までに温室効果ガスを25%削減すると表明。これにより、各ITベンダーの地球温暖化に向けた取り組みが本格化すると和田氏は見ている。
温室効果ガスの削減に向けた取り組みとして、石油や石炭などの化石燃料に代わる太陽光発電などエネルギー資源に関する開発が促進されるという。また、社会インフラ全体に関わるスマートグリッドに向けた大規模なプロジェクトが2010年に始動すると予測。プロジェクトでは幅広い業種の企業や政府が連携するなか、ITベンダーは各企業とのつながりをコントロールする役割として期待されている。
また、ITベンダーにとって、グリーンITへの取り組みが顧客に対しての付加価値になるほか、価格競争力や排出権取引を有利に進められるとしている。
IDCが12月10日に発表したレポート「ICTサスティナビリティインデックス」ランキングによると、日本はICTの利活用による温室効果ガス削減のポテンシャルが主要20カ国中1位という。和田氏は、「サーバなどの電力を減らしてグリーン化を図る『Green of IT』から、ITそのものをグリーン化に役立てる『Green by IT』へと変容していく。2010年は地球環境の課題に対するITの積極的な利用に踏み出す重要な年になる」としている。
IDC Japanは、2009年の国内IT市場は前年比8.2%減の11兆8488億円と見ており、2010年は多少回復してもやはり前年比0.1%減の11兆7217億円になると予測。極めて低い成長が見込まれる。2008年からの不況により、各企業のIT投資額が2010年度も引き続き減少し、サーバやPC、ストレージなどハードウェアの出荷が伸び悩むとしている。「各企業がコスト削減に注力するため、価格競争が激しくなる」(和田氏)と分析している。
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