利用者1人あたりの売上が月2000円、ソーシャルアプリ「スピード★レーシング」の戦略

永井美智子(編集部)2009年12月11日 20時42分

 mixiやモバゲータウンのオープン化で、国内でも急速に注目を集めているソーシャルアプリ。ユーザーが持つ既存の友人関係を活用する点が、これまでのウェブサービスとは異なっている。

 ソーシャルアプリ市場は現在日本でどのような状況にあるのか、また、どのような点に気をつけて開発をしているのか。mixiアプリ向けに「RockYou! スーパー☆ペット 1.0」「RockYou! スピード★レーシング」などを展開しているロックユーアジアの執行役員COOである渡邉廣明氏と、「ブラウザ三国志 for mixi」の開発を手がけるONE-UP代表取締役の椎葉忠志氏が、12月10日に開催された一般社団法人ブロードバンド推進協議会主催のセミナー「ネットコミュニティがもたらすパラダイムシフト」において語った。ここでは渡邉氏の話を紹介する。

ユーザー数は少ないが、ユーザー単価が高い日本市場

 ロックユーアジアは、米RockYou、ソフトバンク、ガンホー・オンライン・エンターテイメント、米ベンチャーキャピタルのDCMが運営するファンドの4者が合弁で設立した企業。日本のほか、韓国、中国、ロシアをカバーしており、国内のmixiやモバゲータウンだけでなく、中国の51.com(ユーザー数1億5000万人)や人人網(RenRen.com、同6000万人)、韓国Cyworld(同2700万人)など9つのSNSをターゲットとする。「日本だけを対象としないことで、ターゲットユーザー数は3億人に広がる」(渡邉氏)

 同社のサービスで最も人気となっているのが、スピード★レーシングだ。クルマを好きなデザインにカスタマイズし、友達とレースを競うというもので、mixiでは約70万人(1日あたりのアクティブユーザー数は10万人)、RenRen.comでは330万人(同2万人)のユーザーがいる。

RockYou! スピード★レーシング mixiで展開している「RockYou! スピード★レーシング」。クルマをカスタマイズし、友人とレースを競い合う

 運営する上で気をつけているのは、「ユーザーが友人を誘う口実をどう作るか」ということ。ゲームを通じてユーザーがコミュニケーションすることでアプリ自体が盛り上がるため、カスタマイズしたクルマをユーザーが自慢できるようにしたり、レースに勝った方がポイントをもらえたりする仕組みを取り入れている。

 また、できるだけユーザーがアプリを利用するように、ログイン時にインセンティブを与えたり、ほかのユーザーとのレース数を友人1人あたり3回までに限定したりしている。さらに、「ツーリング」という機能では、友人を誘わないと次のステージに行けない、といった制限も設けている。「クレームも多いが(笑)、こういうものなので、ということでやらせてもらっている」(渡邉氏)

 日本のユーザーで特徴的な点は、1人あたりの利用金額(ARPU)が高いこと。スピード★レーシングでは「トークン」と呼ばれるアイテムくじを8個210円で販売しており、mixiにおける課金ユーザーのARPUは月2000円に達するという。「米国では1〜2ドル(邦貨換算で88円〜176円)、中国は10〜20円程度だ。日本のほうが効率的に売り上げを上げられる」(渡邉氏)。クルマ関係のアプリのため、男性ユーザーが多いと思われがちだが、「クルマを着飾らせる」という性質があるため、女性ユーザーも多くいるとのことだ。

 ただ、渡邉氏によると、当初はスーパー☆ペットのほうが人気が出ると想定していたという。しかしスーパー☆ペットのユーザー数は22万人で、1日あたりのアクティブユーザー数も4万人にとどまっている。同様の傾向はCyworldやRenRen.comでも見られるといい、「何が当たるかはまだわかっていない」と試行錯誤の最中であることを明かした。

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