Sinofsky氏は2006年3月にOfficeからWindowsへと担当が変わり、2009年夏にはWindowsビジネス全体を統括するプレジデントに就任した。
Windows開発における自らの信条を一言で表現すれば、「責任」ということに尽きる、とSinofsky氏は語った。「10億人規模のユーザーが利用するソフトウェアを手がけるプロジェクトは他にない。開発チームの現場で、われわれはこのことを本当に、本当に真剣に受け止めている」
またSinofsky氏は、ある機能に賛成だ、反対だという感情的な議論に左右される人物ではない。同氏の注意を引きたいのなら、数字を示さなければならない。フィードバックは求めるけれど、「単なる断定や意見、逸話ではなく、データに基づいていること」が必要だ、とSinofsky氏は言う。
PDCで18日に行った講演でSinofsky氏は、それと対照的な従来の姿勢を「テストステロン(男性ホルモン)に基づくエンジニアリング」と呼んだ(「いちばん大きな声を上げた者」の意見がたいてい採用されるというもの)。
「自分たちがいろいろなことをそんなやり方で進めていたことが、今では分かる」とSinofsky氏は述べた。次バージョンの製品にどの機能を搭載するかを、しばしばそういう方法で決めていたという。しかし、基本的に人は自分の友人にしか尋ねない、とSinofsky氏は指摘した。
「このことをはっきりさせておこう。Fry's(電気電子製品販売チェーン店)で買いそろえたパーツで独自のゲーム用マシンを組み立てる友人ばかり10人に尋ねる、といったやり方で製品に搭載する機能を決めるのか?」(Sinofsky氏)
「これではちょっと均質すぎるようだ。いささか信頼性が制限されてしまうように思える」と、Sinofsky氏は述べた。
だが最近のMicrosoftには、製品を実際に使用しているユーザーから大量のデータを収集するという、もっと良い選択肢がある。こうして集めたデータから、社内のエンジニアには直感的に分からないことが明らかになる場合が多々あるという。
講演の中でSinofsky氏は、一例としてWindowsユーザーが使用しているディスプレイの解像度が実に多様であることを示すグラフを披露した。そのグラフによると、VGA解像度のディスプレイがかなりの割合を占めている。Microsoftの関係者は当初、こうした低解像度のディスプレイについてはそれほど心配する必要がないと考えていた。
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