ロサンゼルス発--ちっとも話してくれない、とMicrosoftのWindows & Windows Live担当プレジデントのSteven Sinofsky氏について不満を言う人もいる。しかし、Sinofsky氏は秘密主義なのではなく、常に慎重でいようとしているだけだ。
「次はどうなる、その次は何だ、と誰もが知りたがる」けれど、早すぎる段階で話しても欲求不満を招くだけで良いことはない、とSinofsky氏は語る。
Sinofsky氏は、ロサンゼルスで米国時間11月17日から19日に開催されたProfessional Developers Conference(PDC)での取材に応えて、「開発者が出してくる毎晩の成果を見ていちいち反応するのは、誰にとっても生産的ではない」と述べた。
レストランに出かけたとき、ジャガイモの皮をむいているところまで見せられ、出てきた料理が生焼けだったらどうだろう。それと同じことで、十分火が通るまではあれこれ語りたくない、とSinofsky氏は言う。
「何であれ、まだ作業が終わっていないのにその様子を見たがるというのは想像しにくい。映画制作で言えば、その日その日に撮影したカットなど見たくはない。私が見たいのは、監督が最終的にどう考えたかだ」(Sinofsky氏)
結果的にMicrosoftは、「Windows 7」を製品リリースの1年前にあたる2008年のPDCまで披露しなかった。Windowsの前バージョンが、2003年には「Longhorn」(開発コード名)として初公開されたのと比べると大きく異なっている。最終的に「Windows Vista」としてリリースされるまでに、前バージョンは度重なる遅延と重要な変更をくぐり抜けることになった。
リリース後の出足に、Sinofsky氏は手応えを感じているようだ。Vistaはあまり評価されず、企業による採用も広がらなかったが、Windows 7はこれまでのところ好調な売れ行きで、評判もいい。
Sinofsky氏の考え方は、かつて「Microsoft Office」システムの開発の責任者だったときに身につけたものだ。
「普通の人たちは、しなければならないことを抱えている」と、Sinofsky氏は言う。
ソフトウェアがほぼ完成するまで、一般からのフィードバックを求めない理由もここにある。
「スクリーンショットにフィードバックは望まない」と、Sinofsky氏は言う。
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