矢野経済研究所は11月24日、「ブロードバンドアクセス市場に関する調査結果 2009」を発表した。
この調査は7月から10月にかけて、主要通信キャリア・ISP事業者などを対象に、同社専門研究員による直接面談、電話およびメールによるヒアリング、文献調査を併用して実施した。なお、この調査ではブロードバンド市場を固定系ブロードバンド市場とワイヤレス系ブロードバンド市場の2つに分類している。
調査結果によると、2009年度における固定系ブロードバンドサービスの契約数は、FTTHが前年度比18%増の約1776万件、DSLが同12%減の約987万件、CATVアクセスが同5%増の約432万件となった。世帯向けサービスとしての固定系ブロードバンドは、普及が進んだことで市場が成熟基調にある。なお、FTTHの純増ペースは鈍化傾向にあるが、地上デジタル放送(IP放送)やセキュリティサービスなどとのセット率が順調に伸びたことで、ARPU(顧客単価)は上昇しているという。
ワイヤレス系ブロードバンドサービスの契約数は、通信モジュールを含むデータ通信系が前年度比48%増の約867万件、公衆無線LANが同7%増の約796万件となった。特にデータ通信系サービスは、ネットブックやノートPC向けデータ通信端末の堅調な伸び、スマートフォンの利用増、MVNOのサービス増などを背景に、順調に伸びている。また、1人で複数キャリアの契約をするケースも増えている。個人向けサービスとしてのワイヤレス系ブロードバンドには、まだ大きな潜在需要があるとのことだ。
2014年度の契約数については、固定系のFTTHが約2816万件、DSLが約536万件、CATVアクセスが約505万件、ワイヤレスのデータ通信系が約2879万件、公衆無線LANが約1145万件と予測している。固定系は引き続きFTTHが牽引するが、2011年のアナログ放送停波を機に契約数の伸びはさらに鈍化する見通し。ワイヤレス系は、機器間通信(MtoM)などの法人・業務系を中心とした通信モジュール型サービスの普及が、市場拡大に貢献するとみている。
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