先ごろ発表された2009年第3四半期(7-9月)の決算値で、携帯電話部門の利益でApple(16億ドル)がNokia(11億ドル)を上回ったことが明らかになった。
調査会社Strategy Analyticsでこの件に関する報告書を作成したAlex Spektor氏はCNET Newsに対し、同社の調査において携帯電話部門の利益でAppleがNokiaを上回ったのは、今四半期が初めてだと述べている。
携帯電話の利益をめぐるAppleとNokiaのトップ争いは、数カ月前から接戦となっていた。Spektor氏によれば、直近の四半期には、携帯電話部門におけるAppleとNokiaの利益の差は1億ドルにまで詰まっていたという。2009年第2四半期(4-6月)におけるNokiaの利益は、同年第3四半期とほぼ同じ11億ドルだった一方、Appleの「iPhone」による利益は推定10億ドルに達していた。
携帯電話市場への参入からわずか2年強しか経っていないにもかかわらず、Appleが携帯電話のグローバルメーカーとして最も多くの利益をあげるまでに躍進したのは快挙だとSpektor氏は述べた。同氏は報告書の中で、Appleの携帯電話における利益増について4つの主な要因を指摘した。
第1の要因は、iPhoneの強力なブランディングだ。Spektor氏は「Appleは、覚えやすく記憶に残る種類のブランドとしてiPhoneを送り出した」と述べた。新型も発表されたが、これもすべて既存のiPhoneをアップデートしたものにすぎず、そのためブランド自体に変化はなく、ユーザーエクスペリエンスも同じままだ。
利益増に貢献する第2の要因は、AT&Tなどの通信事業者がAppleに支払う高額な卸売価格だ。消費者は、AppleがiPhoneによって通信事業者から吸い上げる多額の金を意識することなく、「iPhone 3GS」16Gバイト版をわずか199ドルで購入できる仕組みになっている。「消費者は、この200ドル弱のスマートフォンのために、通信事業者が陰でいくら支払っているのか認識していないだろう」とSpektor氏は指摘した。
iPhoneが広く世界に流通し、販売されていることは、Appleによる目覚ましい利益成長の第3の要因だ。同社は2007年、まずは米国でAT&Tのみをパートナーとして携帯電話事業を開始し、その後徐々に欧州に拡大していった。「そして今や、Appleはあらゆる地域に参入している」とSpektor氏は述べ、「Appleは世界中に広がった。以前は通信事業者を1つに限っていた英国やフランスのような市場でも、2ないし3社がiPhoneを提供するようになった」と説明した。
最後に、Appleの生産コストは極めて厳格に管理されており、これがさらなる利益を生み出している。iPhoneの製造は中国の企業Foxconnに委託されている。iPhoneの仕様は極めて厳密に維持され、コストもかなり低く抑えられているため、Appleにもたらされる粗利益はいっそう高くなる。
Strategy Analyticsがまとめた今回の四半期別による数値では、AppleのiPhone 3GSおよび「iPhone 3G」と、Nokia製のすべての携帯電話端末(スマートフォン以外も含む)を比較している。また、Spektor氏によると、比較の対象となったのは利益のみだという。全体の出荷台数では、2009年第3四半期に1億850万台の携帯電話端末を出荷したNokiaは、今なお携帯電話市場のトップに立っている。これに対しAppleによるiPhoneの出荷台数は740万台にとどまっている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス