グーグルは9月3日、街の写真を地図上に掲載しているサービス「Googleマップ ストリートビュー」について、写真を撮影している地域をウェブ上で公開した。総務省の要請にもとづく措置だ。
ストリートビューは、グーグルが走らせた車から撮影した街の写真をウェブ上に公開するサービス。地図上で選んだ任意の地点について、その場所の景色が360度写真で見渡せるようになっている。初めて行く場所の様子が事前に分かるといった利点がある一方、歩いている人の顔や表札、家の中などが映り込んでいる場合があり、本人からの申請がない限り写真が削除されずウェブ上に公開され続けるため、プライバシーなどの観点から問題になっていた。
総務省はストリートビューについて、個人情報保護法の義務規定に違反するものではないとしつつも、撮影前に地域住民に向けて情報提供することや、サービス公開後の問い合わせに対する対応、サービス全般に関する周知の徹底を求めていた。
これを受けてグーグルは、ストリートビューのサイト上に「現在撮影中のエリア」という欄を設け、撮影中の地域に関する情報を掲載した。9月3日時点では「東京都 23区東部」「神奈川県 横浜・川崎」などが撮影地域として挙がっている。
また、グーグルの担当者が地方自治体を訪れ、サービスの説明をすることも明らかにした。ただ、「人数が限られているため、要望があった場合に対応する。都道府県や政令指定都市レベルが中心で、市区町村へは物理的に難しい」(グーグル製品開発本部長の徳生健太郎氏)としており、基本的には地方自治体から要請があった場合に赴く形を取る。また、要望があればストリートビューのパンフレットを自治体に向けて送付するという。
地域住民への説明については、自治体からの許可が下りれば、その自治体の広報紙にストリートビューについての説明を掲載する形で対応する。また、ストリートビューのサービスが新たに始まる地域については、事前に自治体に通知するとともに、報道機関への説明会を現地で開く考えだ。
ただし、いずれの場合も、各地域の写真掲載開始日を事前に明言することはしないという。
「データの規模やシステム、ユーザー数を考えると、システムトラブルが起きて直前に延期になる可能性もある。万全の体制を整えるためには、事前に明言はできない」(徳生氏)
また、撮影日についても、「街のたたずまいを自然な形で撮りたいと考えている。撮影車に対して手を振られたりすると、ストリートビューのサービスの価値が変わるおそれがあるので、待ち伏せできるようにはしたくない」(徳生氏)として、事前には通知しない考えを示した。
「サービスの性質を考えると、撮影中に大きな音を出して告知するといったことも物理的に難しい。まずはサービスの価値をわかってもらう(ことで撮影への理解を得る)ようにする」(プロダクトマネージャーの河合敬一氏)
ただ、垣根の上から家の中を撮影しているという批判が出たことを受け、カメラの高さは40cm下げた上で5月から再撮影を始めている。また、車にはGoogleのステッカーを張ることで、撮影していることがわかるようにしたとのことだ。
問い合わせへの対応については、PCサイトおよびモバイルアプリ上で連絡を受け付けるとともに、専用の電話応対窓口(0570-010041、受付時間は9時〜12時および13時〜18時、月曜から金曜まで)を開設している。グーグルによれば、原則として2営業日以内に画像の公開停止依頼に対応しているとのことだ。
ストリートビューに掲載された写真が名誉棄損などの悪質な目的に二次利用されるという懸念も示されている。これについては、被害者が申告できる仕組みを近々用意するとのこと。連絡を受けたものについてはグーグルが違法性などを確認した上で、サイトに掲載されている場合は削除要請をするとともに、場合によってはグーグルのウェブ検索インデックスから除外することも検討するとした。
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