「Google Books」をめぐってGoogleが提案した和解案に関する議論の大半は、著作権法と競争の問題が中心になっている。しかし米国時間9月3日、書籍への平等なアクセスを求める団体が意見を表明した。
Google Booksのスキャンプロジェクトに賛成する市民的権利の連合や障害者団体が3日に記者会見を行い、Googleが著者や出版社と意見を調整して新たな種類のデジタル図書館を創設できれば知識へのアクセスが大きく改善されることから、一致して支持を表明した。こうした団体が危惧するのは、これまで学費の高い大学や資金力のあるコミュニティーの図書館にしまい込まれていた情報へのデジタルアクセスを獲得できるまたとない機会が、一部の著者やプライバシー擁護論者による和解案への反対によって打ち砕かれるのではないかということだ。
著作権保有者から明確な許可を得ずに絶版書籍をスキャンしたとして、Googleは2005年に提訴された。2008年10月に和解案が提出され、企業や組織はここへきてそれぞれ和解案への態度を明らかにしつつある。ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所が祝日のある週末にサーバメンテナンスが予定されていることに直前で気付いたため、意見提出の締め切りは8日まで延長されたが、著者が和解案を拒否するかどうかの締め切り日は4日のままだ。
和解案に異論を唱える人々はたいてい、これまでの半年間に強く反対意見を表明してきているだろうが、Google側は、もし和解案が承認されれば金銭面以外のところで大きな利益を得られる人々の団体の意見をとりまとめた。
例えば、視覚障害者は米国議会図書館の運営する特殊な図書館を利用できる。1931年に設立されたこの図書館は、出版された書籍の内容を視覚に障害があっても理解できる形式に変換しているが、収蔵点数は7万点にすぎない、と全米視覚障害者連合(NFB)のPR部門ディレクターを務めるChris Danielsen氏は語った。2009年10月に和解案が承認されれば、「印刷物を読み取ることへの障害」を持つ人々が「数多くの書籍にアクセスできる人類史上かつてない機会」になると同氏は述べている。
ハワード大学教授のLateef Mtima氏は和解案を支持しており、書籍へのアクセスが拡大することの可能性を示す例として、1960年代にハーレム地区で育ち、その後科学と数学に才能のある生徒を集めて特別な教育を行うスタイブサント高校に転校した自らの経験を紹介した。スタイブサント高校の同級生は英語の授業ですでに多くの文献に触れていたため、Mtima氏はよほど頑張らなければ追いつけないと気づかされたという。
文献や教科書にデジタルアクセスを提供するには、全ての学校の図書館にパソコンを備えるだけでよく、書籍を購入して管理することに資金を費やす必要はなくなる、と一部の支持者は論じている。国内の貧困地域にある多くのコミュニティーには豊かなコミュニティーにあるような充実した図書館を維持する財源がなく、こうしたコミュニティーの生徒たちは学習が困難になっている、と市民権に関するリーダーシップ会議のWade Henderson氏は述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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