Mathematicaが開発した「計算知識エンジン」の「Wolfram|Alpha」で、さまざまな方法から同エンジンの動的な検索結果を問い合わせたりマッシュアップすることがまもなく可能になる。
Guardianによると、Wolframは同エンジンのデータを公開し、API経由で問い合わせ可能にするという。ユーザーは現在、ブラウザで結果を閲覧したり、PDFとしてエクスポートできるほか、Mathematicaのプラグインを使って「再生」することもできる。このデータをほかのサイトで、そしてスプレッドシートの計算といったほかの手段に利用できる機能は革命的なものではないが、魅力的ではある。
Wolframは鳴り物入りでローンチされたが、その後、実際のところWolframとは何なのか、という混乱が生じた。確実に明らかなのは、Wolframがかなりの量のデータを保有しているということだ。明らかでないのは、Wolframは利益を上げられるのか、そして利益を上げられるのであれば、それはいつになるのか、ということである。
収益化に関して言えば、最初にAPIに着手するというのは確かにいい考えだ。Alphaのデータを同サイト内に閉じ込めてしまうと、そのデータは自身のトラフィックを越えて、外側に行くことができない。これは、「Twitter」のようなサイトを中心に構築されたリンク型の経済を失望させるものであり、それに反するものだ。
今日のソーシャル化されたインターネットでは、データへのAPIは、ユーザーをそのデータにとどめるための壁(または扉)である。それが「Amazon Simple Storage Service(S3)」のようなクラウドサービスを制御するAPIであれ、「Facebook」の内外で通信を行えるようにする機能であれ、ユーザーは自分にとって快適な方法でデータを消費したいと思っているのだ。データを作成または収集する企業は、クリティカルマスを突破したいと考えているのであれば、その手段をユーザーに提供する必要がある。
CNET NewsのTom Krazitは先日、Microsoftの「意思決定エンジン」である「Bing」と、Wolfram|Alphaとのライセンシング契約について記事を書いた。この契約によって、「Bingは、Wolfram|Alphaが生成する科学と計算に特化したコンテンツの一部を提示」できるようになる。
Bingの成長に伴い、MicrosoftがGoogleの持つギーク的な要素に対抗し、表計算と高等教育の分野における同社の支配的な立場を前面に押し出すことを真剣に考えているのであれば、Wolframが生成するデータは新たな重要性が加わることになる。消費者の視点から見ると、データの情報源は多ければ多いほどいい。しかし、BingとAlphaがGoogleに追いつくには、まだまだやるべきことが山ほどある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ
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