このセミナーで講師を務めた独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の新エネルギー技術開発部主査 渡辺慶一氏は「スマートグリッドに関連する知見は日本が一歩リードしているもの、日本の配電網は優秀でスマートグリッドのような効率化の仕組みがすぐ必要になるとはいえない。しかし、太陽光発電などの自然エネルギーの供給が増加するにつれ、それを解決するためのシステムとしてスマートグリッドが必要になる」と日本型のスマートグリッドの将来像について説明した。
太陽光発電(Photovoltaic:PV)の発電効率は、現在1キロワット時あたり23円。これが2030年にかけおよび3倍以上向上されると予測されている。このようなPVの廉価化の影響などにより導入規模が拡大すると、PVによるエネルギー供給と、安定供給を重視する既存のメイン電源の供給が混在すると統合的な制御が不可欠となる。
このような状況に渡辺氏は「2020年までに系統対策の山場がやってくる」と警鐘と鳴らす。
例えば、PVの場合、曇りや雨の日はまったく共有できなくなり、それを穴埋めするために供給を増やすなどの対応が必要となるが、一定供給を行なうメイン電源では対応できない。こういった問題に対し、インターネットを利用した通信網を利用し双方向的に機器を制御し、安定的な電力と、発電量が不安定な新エネルギーを組み合わせることとを目的としたシステムが現状の日本版スマートグリッドと定義できそうだ。
セミナーには、金融から商社、自治体、IT業界からも参加者があった。詳細が見えにくいスマートグリッドに、会場から多くの質問の手が挙がったのが印象的だった。
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