ウェブにおけるコミュニケーションには、何よりもストーリーが必要です。この場合のストーリーとは、相手の感情を動かすエピソードや仕組みを指します。「カルピスソーダ学園・男子新体操部」キャンペーンは、人間の感情を刺激するストーリーがありました。
このキャンペーンは、2008年から引き続き実施されているものです。2008年、今までのカルピスソーダのイメージを一新した新しいキャンペーンが始まりました。
それは、カルピスソーダ学園男子新体操部という架空の部活が登場し、部員6名が白に水玉の「カルピスソーダ」のパッケージをモチーフにした全身タイツに身を包んで、はじけた新体操の演技をテレビCMで放映したものです。
このキャンペーンにより、カルピスソーダの売上げは急上昇。2008年夏は前年比6割増を記録しました。
そして、2009年、またカルピスソーダ学園新体操部の面々が帰って来ました。2009年は青空の元、文化祭で男子新体操部がエキシビション演技をするという設定で、既にテレビCMがオンエアされています。
特撮やCGに頼らない本物のはじけた演技やリアルな実況・解説が、人の感情を動かす人気の秘訣ですが、テレビCMだけでなくウェブやモバイルにおけるインタラクティブなコミュニケーションも、このキャンペーンの人気をさらに高めています。
ホームページでは、「カルピスソーダ学園」を舞台に、CMのメイキング、大技解説映像、学園アニメ、部員の素顔などの一般的なコンテンツに加え、日本体操協会公認で「男子新体操全国WEB選手権 カルピスソーダカップ」を2008年に引き続き実施します。これは、新体操部のある全国すべての中学・高校が参加できる世界初のバーチャル公式スポーツ大会です。
まずビデオ収録した1分半の演技をYouTubeに投稿します。それを日本体操協会審判委員会が採点して、順位をつけ1〜3位の学校を表彰します。また順位を非公開にして、上位8チームの映像を大会公式サイトに公開し、一般閲覧者がそれぞれの演技の「ハジケ度」で採点し、その結果などから「特別協賛賞」を表彰するという仕組みです。
2008年の第1回WEB選手権では、全国から28チームが参加し、ハイレベルな演技が披露されました。また1カ月で1万人の「ハジケ度」の投票があり、大きな盛り上がりを見せました。
参加するチームはもちろん、一般視聴者も採点に参加できるというストーリーを作っていることが、このキャンペーンの秀逸なところです。第2回の2009年も、きっと2008年以上の盛り上がりをみせることでしょう。
このように、優れたコミュニケーションには必ずストーリーがあります。あなたの会社のウェブコミュニケーションには、インタラクティブなストーリーがありますか?
◇ライタプロフィール
川上徹也(かわかみてつや)
広告代理店で営業局、クリエイティブ局を経て独立。フリーランスのコピーライターとして様々な企業の広告制作に携わる。また、広告の仕事と並行して、舞台脚本、ドラマシナリオ、ゲームソフト企画シナリオ、数多くのストーリーを創作する仕事にかかわる。近著に「仕事はストーリーで動かそう」(クロスメディア・ パブリッシング)。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス