Twitterに代表されるマイクロブログ検索がGoogleの「ユニバーサル検索」の一部として提供される計画にあることが、検索製品およびユーザーエクスペリエンス担当副社長のMarissa Mayer氏によって語られた。
来日中のMarissa Mayer氏は6月15日に都内で記者会見を開き、ウェブの規模がより大きく、より複雑になっているなかで、Googleがどのような努力を払っているかをアピールした。
数値で表すと、ウェブページの総量は5年前の5エクサバイト(10の18乗)から、現在は281エクサバイト以上にまで膨れ上がっているという。またユーザーが1日にアップロードするデータの総量は3年前の15倍以上に上るそうだ。
こうしたペースで増え続けるウェブコンテンツをどうやって見せていくかがGoogleの課題になる。
その答えとしてGoogleは、オフラインの学術資料を検索可能にした「Google Scholar」と「Google ブック検索」、画像や動画、ニュースを一覧できるユニバーサル検索などをリリースした。「ユーザーにとっての叡智がどこかに隠れていて、手が出せない状態にあった。Googleはそういった知識を、時空を超えて共有可能にした」(Marissa Mayer氏)
最近では、ブログよりもさらにリアルタイムな情報を発信できるマイクロブログという分野のサービスもある。代表的なのはTwitterだ。
Twitter内の情報を検索するTwitter Searchは、ユーザーが数十秒前につぶやいた内容を即座に検索可能とする。Googleはこのリアルタイム検索の分野でどういった戦略を持っているのだろうか。
これに対してMarissa Mayer氏は、「ウェブ上のコンテンツをクロールし、インデックスし、検索可能にするプロセスにおいては、スピードを非常に重視している。Googleは世界的に比べても一番速い。ブログやマイクロブログ(の検索結果)もユニバーサル検索のなかで出していくという方向で考えている」と答えた。
Googleが最近リリースした「fusion table」というオンラインデータベースは、科学者の持つさまざまなデータをオンラインで共有可能にするものだ。科学者たちが持ち寄ってアップロードしたデータについて、誰でもそれらの相関関係を調べることができる。解析結果はウェブサイトやブログに貼り付けて、再びシェアできる仕組みだ。
Googleにはユーザーから膨大な情報が寄せられる。毎分、世界から20時間分のビデオがYouTubeに、4800枚の写真がPicasaにアップされるという。「Google Map Maker」というツールを使うと、ユーザーがGoogle マップの地図作成に貢献できる。正確な地図データがない地域ではユーザーが自ら地図情報をアップロードしている。世界で1日6000件もの投稿があるという。
こうした現象をMarissa Mayer氏は、「ユーザーがエンゲージとインタラクションを要求している。ものすごいスピードでユーザーがネットに期待を込め、コンテンツをシェアしている」と語る。
ユーザーが頑張っているのだから、検索も進化を続けなければならない。
Googleが目指す検索の方向性は、ユーザーが検索キーワードを考えたり、入力したりする手間を省くこと、ユーザーごとによりパーソナルな検索結果を出すことによって、ユーザーに検索のプロになってもらうのではなく、Gogleが努力して検索という行為を簡単にすることだ。
その取り組みの一例がリリースされたばかりの「Google Suggest 2.0」だ。
これまでのGoogle Suggestはタイピングするごとにキーワード候補を示してくれたが、新しいバージョンでは、そのURLまで提示してくれる。現在は米国版サービスでのみ利用できる。
そのほか、声で検索できる「Google Voice Search」、キーワードを入力しなくても似た画像を検索できる「Google Similar Images」、ウェブページを翻訳して表示するサービス、IPアドレスから自動でローカル検索の結果を出す仕組みなどが、ユーザーの利便性を向上させている例として紹介された。
「ウェブのサイズ、種類が増えてきたことで、ウェブ検索に課題が見えてきた。しかし、問題があるからこそイノベーションが起きる。検索がパワフルになると、さらにユーザーが成長する。そうすることでウェブそのものが良くなる。ユーザーひとりひとりがネットの世界を良いものに変えていくことができると考えている」(Marissa Mayer氏)
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