グーグルは6月9日、開発者向けイベント「Google Developer Day 2009」を開催した。Google Wave、Android、OpenSocialなどのプロジェクトを担当するグーグル社員や、それらと関わりのあるパートナー企業が直接国内の開発者とコミュニケーションを取る貴重な場となった。
基調講演ではグーグル代表取締役社長の辻野晃一郎氏は会場に集まった開発者に、ウェブアプリケーションの限界に挑戦するグーグルの最新テクノロジーを見てほしいとアピールした。
Google Developer Dayは2009年で3回目。こうした大規模な開発者向けイベントを開催する背景には、「テクノロジーの発展のために、日本を単なるマーケットとして見るだけでなく、みなさんの才能をインテグレートしていくことが重要」(辻野氏)というグーグルの考えがある。日本のGoogle Developer Dayは米国、中国についで来場者が多いそうだ。
続いて登壇したシニア プロダクト マネージャーの及川卓也氏はHTML5について講演した。これまでネイティブアプリとウェブアプリには残念ながら大きなギャップがあったと語る。
高度なグラフィック、ロケーション、ストレージ、スピードなどをウェブでどのようにして実現するかという課題があったという。
このなかでスピードという課題にはGoogle Chromeというブラウザで答えを出した。それ以外の部分はHTML5が解決するという。及川氏は「HTML5は新しいウェブ技術の総称と考えてもいい。HTML5を使ってグーグルがどのような世界を作り出していくか、想像してほしい」と語り、HTML5の以下の機能についてデモを交えて解説した。
アジアパシフィックのAndroid統括部長、Tom Moss氏は、Androidの現状について、世界で11カ国、14キャリアから提供されていること、米国では2番目のモバイルウェブプラットフォームに成長したこと、1人のユーザーが1日平均40以上のアプリケーションをダウンロードしていることを紹介した。
そしてまもなく日本でもAndroid端末を発売するNTTドコモ執行役員 プロダクト部長の永田清人氏が、Androidへの期待の言葉を述べた。
「先日、夏モデル18機種を発表した。テーマは『ひとりひとりのあなたへ』。大きくスマートフォンの世界、オープンプラットフォームの世界に踏み出したかった。そういう面ではドコモはお客さまに満足を与えてこなかったのかもしれないことへの反省もある。スマートフォンのエリアで我々の強力な武器はAndroidフォンだ」。
そして「ケータイするGoogle」と名付けたAndroid端末HT-03Aの成功は、外部の開発者次第であるとも述べた。「デバイスのすばらしさ、販売努力もあるが、自由なダウンロードして楽しめるアプリケーションが成長を左右する。アプリが豊富だから端末を買いたくなる、端末が売れると安くなる、またアプリが使われる。そういう世界を実現させたい。デバイスだけでは新しい市場はできない。ぜひ魅力的なアプリを作ってほしい」(永田氏)
グーグルのソフトウェアエンジニアであるChris Pruett氏は、Android端末向けのアプリケーションをダウンロードできる「Androidマーケット」を紹介した。「Androidマーケットは世界中のユーザーをターゲットにできる。グーグルはアプリをスクリーニングしないため、ユーザーに即座に提供できる。ランク付けするのはユーザー自身だ」と語った。
日本向けのAndroidマーケットでは、最初の1カ月間は無料のアプリしかダウンロードできないが、有料も順次サポートする予定だという。支払いは当初クレジットカードのみになるという。
ここでグーグルからイベント来場者に向けて、SIMロックフリーのAndroid端末がプレゼントされることが明かされた。「Androidを使ってすごいアプリを作るのはグーグルの社員ではなくて、ここにいるような開発者だと考えている。ここで端末を配ることで、Android Developer Challenge 2(2回目となるGoogle主催のAndroid向けアプリコンテスト)にどれだけ素晴らしいアプリが出てくるか、本当に楽しみにしている」(Tom Moss氏)
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス