2008年7月、筆者はロシアのセキュリティベンダーKaspersky Labの取締役会会長、Natalya Kaspersky氏にインタビューする機会を得た。
ロシアのIT業界やKasperskyの株式公開について話を聞いている中で、Natalya Kaspersky氏が何度も強調したのは、ロシア経済は優良であり、90年代後半のような悲惨な状況ではないということだった。この点については同社COOのEugene Buyakin氏も認識をひとつにしていた。
その3カ月あまり後、米国で金融危機が発生した。金融不安が世界的な拡大を見せていた2008年12月、(これは渡邉利和氏が)Buyakin氏にインタビューした際には強気の姿勢を見せていた。
さて、現在の認識はどのようなものか。2009年5月、同社CEOのEugene Kaspersky氏に、ロシアのIT業界、Kasperskyの株式公開、そしてWindows 7について話を聞いた。
なお、本インタビューでKaspersky Labが企業買収を検討していることが明らかになった。このトピックについては「カスペルスキー、ロシア国内で企業買収を計画中:技術と人材の獲得目指す」を参照してほしい。
会社にとって株式公開は必要なステップだという認識ではある。しかし、NatalyaやBuyakinが話していたスケジュールよりは後になった。この遅れは今回の不況に原因がある。
とはいえ、キャッシュフローが潤沢であるから外部資本をすぐに入れる必要もなく、売上も順調に上がっている。そのため、今すぐに株式を公開する必要性は全く感じていない。
ロシア経済は石油によって支えられているが、価格の下落で悪化しているといえよう。ロシア国内のIT投資も大幅に減退しているのが現状だ。
ロシア人はこれまでに何度もクリージス(経済危機)に直面してきたが、こんな冗談がある。
「今回の危機が特別なのは、予測が可能だったからだ」
ロシア人にとって、経済危機は気がつくとそうなっているのが当たり前だった。しかし、今回は来ることがわかっていたので準備できていたのではないだろうか。
我々が会社を設立する時に立てたポリシーと、総合ベンダー化の道は大きく異なる。
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