IVS Spring 2009開催--ミクシィ笠原氏ソーシャルアプリを語る - (page 2)

西田隆一(編集部)2009年05月22日 00時58分

 笠原氏は従来のインターネットのコンテンツなりサービスは、オンデマンド性を生かしたパーソナライズされたものだったと言う。「たとえば、東京の天気を調べたい場合にはいつでも調べられる。映画情報や求人情報も自分が欲しい情報を登録しておけば、プッシュされるというオンデマンド性に価値があるものだった。」(笠原氏)

 これに対し、ソーシャルアプリはオンデマンド性のものとは違い、たとえば、占いであれば自分の血液型や星座で自分自身を占うのではなく、SNSでつながる友人と相性がいいのか誰か、あるいは一番相性が悪いのは誰かといった友人間でコミュニケーションできるものがポイントだと言う。もちろん、既存のコンテンツやサービスをmixiアプリとして提供することも可能だというが、重要なのはコミュニケーションのツールとして使えるかにある。

 また、ソーシャルアプリは従来の掲示板のようなコミュニティーとも違うのだと指摘する。従来の掲示板はその話題に興味を持つ人が全国から集まる「全国大会」のようなものだが、ソーシャルアプリは、mixiを例にとれば、「マイミク(mixiのユーザー同士のつながり)大会」のようなものだと言う。現在、mixiでは平均して1ユーザーあたり25人のマイミクがいるが(つまり、1ユーザーが25人とつながっている)、25人の小さな空間での大会がソーシャルアプリの本質で、それが1700万通りあるというわけだ。

 小さな空間には安心感があり、知人同士のつながりのためインタラクティブになりやすく、言いたいことが発生しやすい。つまり、小さな空間が1700万通りあることが、mixiの最大の価値となる。

 もちろん、mixiではマイミク大会だけでなく、マイミクが少ない人には全国大会的な要素をもったソーシャルアプリの開発も可能であることを笠原氏は付け加えた。

 さて、日本でも本格的に提供されるソーシャルアプリのプラットフォームとなるmixiアプリだが、何が最大の特徴となるのだろうか。

 笠原氏は「PCとモバイルの2つのプラットフォームで展開するのは世界初」であることを強調する。特にモバイルは前述の通り、PCよりもmixi内でのユーザーの活発度は高い。このためmixiアプリで成功するのはモバイルで使いやすいアプリを作ることがカギだと言う。また、FacebookやMySpace、校内网(Xiaonei:中国最大のSNS)のようにPCでソーシャルアプリのプラットフォームを解放しているサービスはあるが、モバイルでも解放しているのはmixiが世界初。このため、mixiアプリ上でソーシャルアプリを開発すれば、モバイルでのノウハウを蓄積でき、前述のSNSがモバイル向けにプラットフォームをした際には、それを活かせる。

 このほか、mixiアプリではソーシャルアプリ開発者向けに独自の課金や広告配信のプラットフォームを提供しているのも大きな特徴だ。

 4月にオープンβとなったmixiアプリだが、今後は6月中にモバイル版のクローズドβが提供され、7月にはソーシャルアプリケーションアワードが開始される。本格稼働はPCが8月、モバイルが9月と続き、広告と課金のプラットフォームはそれぞれ9月と10月にスタートする予定だ(いずれも2009年中)。

 ソーシャルアプリがスタートする今年は「(インターネットが本格化した)1996年、(iモードがビジネス軌道にのった)2000年と同じくらい大きなインパクトだと思っている」と笠原氏はこのビジネスに思いを込めて講演を締めくくった。

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