電気自動車は本当に環境に優しいのか--ドイツの研究から明らかになった課題 - (page 3)

文:Erik Palm(Special to CNET News.com) 翻訳校正:川村インターナショナル2009年05月11日 08時00分

 ドイツでは原子力発電を2020年までに段階的に廃止することが決議されたため、WWFの今回の研究では、2020年より後のエネルギー源として原子力は考慮されていない。

 WWFでは、現在の交通運輸システムのうち電気自動車に置き換えることができるのは半分だけだと想定している。

 同研究は、電気自動車の現在の航続距離では、最大でも総走行距離の半分しか置き換えることができないだろうとしている。

 Obama大統領は、米国で2015年までに100万台の電気自動車を導入するという目標を設定した。

 米国の電気自動車ロビー団体である米電気自動車協会(EDTA)は、ドイツでのWWFの研究によって提起されたリスクについて、米国では事情が異なると述べている。

 EDTAの広報担当者Jennifer Watts氏は「米国では、電力供給網がよりクリーンになりつつあるため、環境上の利点は得られる」と述べている。同氏は、米パシフィックノースウェスト国立研究所が行った研究の結果を引き合いに出した。その研究では、軽量自動車の73%は現時点で問題なく電力供給網に接続することが可能であるとされており、また米電力研究所(EPRI)の研究では、電気自動車が導入されれば米国の各地域で温室効果ガス排出量の削減が実現することが示されているという。

電気自動車の可能性はまだある

 このドイツの研究はエネルギー効率のみを対象としたもので、電気自動車の経済性については考慮していないが、電気自動車の可能性を完全に否定しているわけではない。同研究は、電気自動車が、個人向けの低炭素の都市型移動手段という役割を将来担う可能性があることを強調している。また、マージナル電源はクリーンなエネルギー源とスマートグリッドから供給されるべきであり、スマートな負荷管理が必要だとも提案している。しかし、そのようなシステムの開発には長い時間がかかるということが強調されている。

 「電気自動車は低炭素型の未来の移動手段として真剣に検討するべき選択肢だが、成果を上げるには再生可能エネルギーと組み合わせなければならない」(Raddatz氏)

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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