ウィジェットは「個人」とつながるメディアに進化する - (page 3)

竹下直孝(ソニー)2009年04月30日 15時56分

2009年注目すべきトレンドいよいよ始まる「mixiアプリ」

 mixi上で展開可能なウィジェットサービス「mixiアプリ」が、2009年8月に始まろうとしている。現在はデベロッパーサイトでパートナー企業を募集しているが、すでに1300件近くの応募がある(※企業及び個人クリエイター含む)ということで、期待の大きさが表れている。

 SNS連携ウィジェットを展開するにあたって企業メリットとしては、SNSならではの環境面を活かした独自の機能(例.アプリの利用情報や更新情報が利用者のマイミクシィにお知らせされる、など)により、短期間で多くのユーザーにリーチできる可能性が高いという点が挙げられる。

 現状、1ユーザー当たりの平均マイミクシィ数は25人ということで、「友達→友達」に広げるだけで、あっと言う間に625人にアプリが広がるという計算になる。ユーザー間での自発的な広がりこそがmixiアプリ最大の魅力だ。

急速に広がりを見せる「モバイル連携ウィジェット」

 モバイル連携ウィジェットの先駆者はiPhoneだ。アップルは、iPhone向けアプリケーションのダウンロード数が10億を達成したことを発表している。iPhoneがプラットフォームとしてもたらす最大のメリットは、グローバル対応という点である。

 App Storeを通じてアプリを提供することで、全世界のiPhoneユーザーにリーチすることが可能となる。結果として、ウィジェットを利用するユーザーにもユニークなアプリケーションを日々ダウンロードして楽しむことができるというバリューを提供している。

 一方、日本市場でも、すでに、NTTドコモ、au、ソフトバンクと3キャリア揃ってウィジェットサービスを提供しており、その動向が注目を集めている。

 ただし、現状においては、各社対応端末に限りがあることによる利用者数の問題や、3キャリアそれぞれ形式が違うためウィジェット提供側での作り分けが必要となるという点から、マーケティングやビジネスシーンで効果的に利用するには、もう少し時間が必要となりそうだ。

 ユーザーに近い場所にウィジェットという新たなタッチポイントを構築することは、企業にとって重要なことだが、反面、環境(各プラットフォーム)に応じて、いかに効率よくウィジェットを提供できるかということが当面の課題になると考えている。

 上記以外にもウィジェットという新しいメディア構築に率先して取組むにあたって、見えない課題が多いのは事実だが、反面、初期段階だからこそ、さまざまなノウハウを先んじて蓄積することで最終的に大きなアドバンテージを得られるというメリットがある。

筆者略歴
竹下直孝
2001年、ソニー株式会社に入社。2005年に有志3名で「新しいネットメディアの開発」をコンセプトに、ウィジェットサービス「FLO:Q(フローク)」プロジェクトを発足。2006年10月にブログパーツサービスを、2007年11月にはPCデスクトップ・ウィジェットサービスをリリース。

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