企業がウィジェットを利用したマーケティングを行う際に、SNSやブログであればユーザーのプロフィールページに設置すること、また、PCやモバイルであれば機器にインストールするといった、ユーザー自身による何らかの能動的なアクションが必要とされる。すなわちウィジェットとは、ユーザー自身の力が働かない限り、成立しないメディアであり、企業がウィジェットをマーケティングに利用するにあたって、この点について強く意識することが必要となる。
そこで、ウィジェットを利用したマーケティングにおける成功事例を元に、企業におけるウィジェット活用のポイントについて解説する。国内では現状、ブログパーツを利用した事例を目にすることが多いと思う。今回は、2006年12月に行われた、ニンテンドーDS用ソフト「漢検DS」のプロモーション・キャンペーンにおいて、購買と直接的に連動したブログパーツ・プロモーションを実例として取り上げる。
このプロモーションの中でブログパーツは、大きく「認知拡大、体験機会の創出、購買導線の拡大」という役割を担っており、それらの実現に向けて、以下の3点がコンテンツ内に意識的に組み込まれている。
このように、「ブログパーツを通じたコンテンツ体験(興味拡大)」「ゲームの結果を元にした自発的な広がり(認知の拡大)」という当初の目的に基づいていることを前提に、ユーザーモチベーションを意識したコンテンツプラニング(設計)を行うことが、最も重要なポイントとなる。
さらにプロモーションにおいて特筆すべき点は、ブログパーツが広がりやすい環境構築のために、事前PR活動が組み合わされたことだ。
具体的なアクションとして、ニュースに取り上げられやすい漢字の日に合わせて「日本人の漢字力低下」という社会的な視点でのニュースリリースを行い、TVや新聞などの40以上のメディアに記事が掲載された。
結果として、その後展開されるブログパーツプロモーションが浸透しやすくなる環境が構築された。
最終的には、テレビCM、バナー広告やリスティング広告、店頭POPなどによる横断的なセールスプロモーションも行われたが、特にネット上では、ブログパーツを始めとするキャンペーンが大きな話題となった。成果という点でも、このブログパーツは、期間中1万人以上のブログに貼り付けられ、総露出数は800万インプレッションを超え、さらに15万人以上がブログパーツで「漢検DS」を体験することに繋がった。当然ながら、ゲームソフトの販売数も65万本を超える大ヒットとなった(出典:岸勇希著「コミュニケーションをデザインするための本(電通出版)」)。
この事例を元に、企業におけるウィジェットマーケティング実施の際の重要な点を、以下に整理する。
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