アップルのS・ジョブズ氏、バックデート問題「知らなかった」--宣誓証言記録で明らかに

文:Tom Krazit(CNET News.com) 翻訳校正:編集部2009年04月24日 12時18分

 Appleの最高経営責任者(CEO)であるSteve Jobs氏が米証券取引委員会(SEC)に宣誓証言した際の会見記録によると、同氏はストックオプションのバックデート(日付をさかのぼって付け替えること)操作の会計上の影響を知らなかったと主張したという。

 Forbes情報公開法(Freedom of Information Act:FOIA)による開示請求を通して同会見記録を入手し、それについての解説記事を発表した。Jobs氏およびほかのApple幹部への2回のストックオプション付与が不正にバックデート操作されていたこと、そして、当時Appleの法律顧問だったNancy Heinen氏が会議の議事録をねつ造したことをAppleが確認した後で、AppleとJobs氏は調査の対象になったという。

 Jobs氏およびAppleに対する措置は取られなかったが、Heinen氏とAppleの元最高財務責任者(CFO)であるFred Anderson氏は、ストックオプションバックデート操作スキャンダルへの彼らの関与を主張したSECによる訴訟で、和解に応じている。SECの調査官は2008年3月、Heinen氏に対する調査の一環としてJobs氏に事情聴取を行った。

 そのときの宣誓証言で、Jobs氏はAppleの取締役会の自分に対する評価が低すぎると感じていたので、後に不正なバックデート操作が発覚した2001年の付与を要請したと述べた。Jobs氏はAppleに復帰して以降、1ドルの年収しか受け取っておらず、しかもドットコムバブルの崩壊によってストックオプションの価値が目減りしたため、Appleのほかの同僚と比べて自分の仕事が適切に報われていないと感じていたという。

 2001年8月における750万株付与の最初の提案から12月の最終的な付与の承認まで時間がかかったのは、付与の条件に関してJobs氏と取締役会の意見が一致しなかったからだ。Heinen氏によって架空の取締役会の議事録が作成されたのはこのときだ。SECによると、Heinen氏がそうしたのは、オプション付与の日付をAppleの株価が12月よりも安かった時期にバックデート操作するためだったという。Jobs氏は宣誓証言の中で、そうした記録の改ざんについては知らなかったと述べた。

 さらにJobs氏は、ストックオプションのバックデート操作に絡む会計上の影響について、何も知らなかったとする主張を繰り返した。ストックオプションのバックデート操作は、企業がその行為を開示し、それに従って帳簿を調整しさえすれば違法ではない。しかし、Appleやほかの多くのシリコンバレー企業はこの8年間、そうした措置を講じなかった。

 Anderson氏は2007年に、オプションバックデート操作の会計上の影響についてJobs氏に説明していたと主張した。しかし、AppleおよびJobs氏は、そういう問題に関する詳細をJobs氏は理解していなかった、と一貫して主張している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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