Googleが米国作家組合らと書籍検索サービスについて合意したことで、日本の出版会にも影響が及んでいる。社団法人 日本書籍出版協会はこれを受け、この問題の解説と和解内容の翻訳文をサイトに掲載した。
いずれもPDF形式で、解説は「Googleとアメリカ作家組合・出版協会会員社との和解について」、和解内容の翻訳文は「Googleと米国著作者・出版社との和解についてのIPA報告書」という文書で公開している。
この問題は、Googleが著作権者の許諾なしに書籍などをスキャンしてデータベースを構築し、書籍検索や抜粋表示したことに対して、米国作家組合と出版社5社が提訴していたもの。訴訟自体は2008年10月28日に和解したが、この訴訟が集団訴訟と認定され、和解効力が米国外の権利者にも及ぶこととなった。日本の著作権者はベルヌ条約に基づき、米国内でも著作権を持つことから、この和解が及ぶことになる。
和解により、権利者はGoogleの書籍データベースの売上などの63%を得るほか、2009年5月5日以前に著作権者の許可なくGoogleがデジタル化した書籍などについて、1点につき60ドルを得られるという。一方でGoogleは書籍データベースの利用権を販売したり、書籍を最大20%まで表示したりできる。また、書籍情報を表示したり、広告に利用したりできる。
データベースの販売などについては、絶版した書籍がすべて含まれるが、いつでも権利者が取り下げることは可能。市販中のものは権利者の意志で追加することも可能だ。ただし、その書籍が絶版かどうかはGoogleが判断する。米国内の伝統的な販売経路で入手できることを「市販中」と指すため、日本の書籍はこれにあたらないとされる恐れがある。
また、インデックス化や広告利用については、和解に参加した場合、特定の利用について取り下げることはできない。ただし、特定の書籍について削除を求めることは可能で、削除期限は2011年4月5日。これを過ぎるとデジタル化済みの書籍の削除を求めることはできなくなる。
日本書籍出版協会では権利者の選択肢として、下記の5つを挙げている。
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