祝「iモード」10周年--次の“IT革命”は2010年に - (page 3)

モバイルでヒットを生み出すには

 この10年を振り返ってみて、キャリアのユーザー啓蒙をふまえた段階的な端末の進化に応じて、コンテンツビジネスは成長してきました。しかしここへ来て、端末の進化がある程度落ち着いてきたのと同時に、市場の伸びも落ち着き、限られたシェアを奪い合うフェーズになってきました。

 今までのように、版権元からコンテンツを借りて、ただ配信するだけではうまく利益に結びつかなくなっています。端末の機能も高度化し、開発や制作コストも上がったことから、今まで以上に賢く事業を展開しないと儲からないビジネスになっているのです。

 携帯業界は特に「先行者メリット」と言うのがあります。先行者が獲得したユーザーを奪うのは至難の業です。先行者は少しずつコンテンツを拡充していけばいいのですが、後から追う場合は、先行者以上のものを初期投資で用意して、プロモーションも打ち、先行者のユーザーや周辺のユーザーに乗り換えを訴求していかなければなりません。満足しているユーザーを乗り換えさせるのは結構難しく、周りを見て「この分野は行ける!」と思ってから追いかけるのは実はコストがかかるので、資金が潤沢な企業でないと難しくなりますし、利益を出すハードルが高くなります。

 また、ユーザーは携帯電話を肌身離さず持っているので、サイト訪問頻度も高くなります。そこで更新頻度が少なく、だらだら運営しているようなサイトには、ユーザーがついてきません。

 集客も、公式サイトに載るだけでは膨大にあるサイトに埋もれてしまってあてになりません。独自の集客エンジンが必要になってきます。いくらいいサイトを作っても、気づいてもらえないのです。このあたりは、ヒットコンテンツを作るための最低限のポイントと言えるでしょう。

パラダイムシフトはこれから起こる

 一方で、今後の10年は、今までの10年と違って、大きなパラダイムシフトが起きる可能性があります。LTE(第3.9世代携帯電話)になることで、本格的なモバイルブロードバンドになり、FMC(固定通信と移動体通信の融合)で自宅のネット環境が変わるでしょう。デジタル放送が本格化する中で、様々な法改正も行われることが予想されます。

 まさに2010年あたりがIT革命の年として、後に歴史の授業で勉強するようになるくらいの変化が起きると思われます。その中で当然大きなチャンスも生まれて来ます。

 また最近の新たな動きとして、iPhoneやAndroidの動きは、ベンチャー企業にとってはiモードが始まったときのような雰囲気とドキドキ感があります。当時よりも事業環境は格段に良くなっています。個人でさえ世界を相手に有料コンテンツを配信できる時代にもなっているのです。

 携帯電話が高機能化したことで、PCに近づいてきて、今までのようなモバイル専業のコンテンツアグリーゲーションビジネスは難しくなってきました。今後はPCや携帯電話の垣根を外して、それぞれの特性を生かして連携する「プラットフォーム」がキーワードになってくるのではないでしょうか。もちろん、僕自身もこのキーワードをもとにいくつか取り組んでいます。

 繰り返しになりますが、今までの10年と今後の10年では大きく変わると思います。今がちょうど転換点なのではないでしょうか。

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