新型の携帯電話端末の販売は、世界不況の煽りを受けて低迷している。事実、IDCも2008年第4四半期の売り上げが前年同期より12.6%落ち込んだことを先ごろ明らかにしている。ところが、スマートフォンの売り上げは同四半期に22.5%増加している。人気の秘密は、これらの上で稼働する洗練されたアプリケーションだ。専門家たちは、スマートフォンの人気が高まるにつれ、スマートフォンで動くアプリケーションに対する需要も高まるものと考えている。
こうして考えてくると、洗練されたデバイスを販売するメーカーが、顧客にクールなアプリケーションも提供したいと考えるのは、自然なことである。しかし一方でAppleの成功を真似ることは、たやすいことではない。
AppleはApp Storeをローンチする前からiTunes Music Storeを通して、配信メカニズムを確立し、成功していた。また、配信以外でもAppleは2つの面で、成功の礎を築いていた。まず1つ目は、Appleが確実に、消費者から人気をモノにするハードウェアを自ら設計していたこと。そして2つ目は、決して完全ではないものの、iPhoneのソフトウェアは多くの先進機能を搭載し、かなり出来の良いものになっていたこと。またAppleがコンピュータ向けに提供するOSをベースにしているため、開発者たちはソフトウェアにある程度なじみがあり、この点がiPhoneの開発を容易にするうえで役に立った。
これら3つのエリアすべてにおいて、Appleに対抗し得る競合は現れていない。たとえばNokiaはハードウェア分野で堅固な地位を築いており、同社が携帯電話を製造できることには疑いの余地がない。しかし、そんなNokiaにとっても、通話以外にもたくさんの役割を果たしてくれる素晴らしいソフトウェアを搭載した携帯電話を製造するとなると難しい。その上、Nokiaはアプリケーションやサービスを配信する強固なチャネルを持ち合わせていないのである。1年かけて「Ovi」プラットフォームを構築し、音楽ストアもローンチした。しかし、どちらの分野でも、Appleにまったくい追いつけずにいる。
Microsoftはソフトウェアの分野で豊かな経験を積み、配信についても熟知している。たとえば、同社はXbox Liveサービスでゲームなどのコンテンツを配信し、成功している。しかし、Microsoftに足りないのは、自ら設計、製造したハンドセットだ。Microsoftはハードウェアメーカーにソフトウェアをライセンスしてきたが、iPhoneの座を奪うような魅力的なデバイスはまだ生まれていない。
スマートフォン市場をめぐるバトルはまだ始まったばかりだ。しかし、Appleを模倣したアプリケーションストアだけではiPhoneの人気を越えられないだろう。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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