2009年1月に開催されるMacworldで、最高経営責任者(CEO)であるSteve Jobs氏が基調講演に登場しないということは、Appleは今回、それほど目ざましい発表を行う予定はないと判断しても差し支えないだろう。
Jobs氏が基調講演を行わないという、米国時間12月16日に流れた発表の前までは、Appleが、Netbookや「iPhone nano」などの新発表を行うのではないかという推測が出回り、これまでと同様に、Macworldへの期待を込めた数々のうわさで持ちきりだった。しかしながら、マーケティング担当シニアバイスプレジデントのPhil Schiller氏が基調講演するというニュースが流れ、こうした推測も、すべて今では鳴りを潜めてしまった。
Appleは16日、今回のMacworldが、それほどインパクトのあるものとはならないと考えていることを、かなり明白にした。Appleの広報担当者であるSteve Dowling氏は、「今後もはや参加しないイベントに、大きな投資をしていく意味はない」とまで述べた。つまり、Appleとしては、よくできたデモンストレーションと基調プレゼンテーションがつきものの、Jobs氏の自慢の講演を出してまで、時間や労力を注ぎ込むつもりはないという意味である。
では、われわれは何を期待することができるのであろうか?すでに以前に新モデルが発表されてから、かなりの時間が経過しており、これまでにもいくつか報道が流されていることから推察すると、新たな「Mac mini」および改良された「iMac」が発表される可能性はある。また、2009年第1四半期(1〜3月期)に登場予定となっている、次なる「Mac OS X 10.6(開発コード名:Snow Leopard)」の機能などを、30分ほどデモンストレーションで示すこともあり得るだろう。
しかしながら、今回のMacworldでは、正直に言って、おそらく誰が基調講演を行おうとも、特筆すべき新発表がなされるというようなことはないと考えられる。Jobs氏の不在は、Appleが、最後に参加することになるMacworldを、淡々と終わらせることを示すだけのものとなってしまった。
とはいえ、あり得そうなサプライズとしては、実はJobs氏が、Macworldの会場には現れるというものである。今回の発表は、Jobs氏の健康状態について、さまざまな憶測が流れる引き金となったのだが、実のところ、Jobs氏の健康状態が悪化していることを示すような情報は、過去24時間では、何も流れていない。
Appleは、通常はコミカルで有能なアシスタント役を演じることに徹していたSchiller氏を、今回はJobs氏と入れ替えて登場させることで、多くの成果が得られるかもしれない。そして、いわゆるMacの熱狂的ファンにとっても、最後にもう1度、Jobs氏に賞賛を浴びせる機会が開かれることになる。多くの人々は、新製品やコミュニティーを求めて、Macworldへと来場するが、非常に多くの人々は、ほかでもないJobs氏の講演を見るためにやって来るのだ。
たとえJobs氏が、いつもJobs氏の基調講演中に前列に座っている、最高業務執行責任者(COO)のTim Cook氏を始めとする、いろいろな取締役員と肩を並べ、会場の最前列に居合わせるだけであったとしても、Jobs氏は健康であるということが分かって、MacのコミュニティーおよびAppleの株主を安心させる、大きな効果があるだろう。Appleの株価は、16日の発表を受けて、投資家がJobs氏不在のMacworldを嫌気し、17日には、前日終値と比較して約7%の下落となった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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