モバイルアクセス解析だからわかること--実例で見るPCとモバイルの違い - (page 4)

伊藤要介(オーリック・システムズ)2008年12月15日 16時47分

モバイルサイト解析は流行っているのか

 著者が所属するオーリック・システムズは10月28日、無料のモバイルサイト解析サービス「myRT mobile」を発表した。モバイルビジネスに関係している一部の方々からは、「なぜ製品版があるのに無料サービスを始めたのか」という声も多々頂いた。これには、米国に本社を置き、パケットキャプチャ方式で実績のあるオーリックだからこその答えがある。

 オーリックの製品はここ数年で大手モバイルサイトへ採用されることが急に多くなった。しかしその一方、サイトを開始したばかりの人からは「マーケティングツールに予算をかけられない」「3万円、5万円あったら(アクセス解析ではなく)集客コストに使いたい」という声を多く聞くようになった。

 日本のモバイルソリューションは世界に類を見ないほど大きく成長していることから、こういったこれからモバイルビジネスに参戦するサイトの後押しとなり、少しでもモバイルサイト解析に興味、関心を持ってもらえればと、製品での実績を元に基本的な解析が可能な「myRT mobile」を無償提供することにした。

 モバイルサイトのアクセス解析ツールはこれまで有償版が多かった。2006年10月にデジタルフォレストが「Visionalist(ビジョナリスト)モバイル」を、IMJモバイルが「Mobile Aid(モバイルエイド)」を販売開始している。2007年10月にはOmnutureが「Omniture SiteCatalyst Mobile」を、2008年3月にはセランが「MOBYLOG 3」をリリース、同年6月にダブルクリックが「Mobile MK 1.8」を発表した。

 RTmetricsは元々PCや携帯電話、ゲーム端末、IPTVなど接続端末を選ばないアクセス解析ツールであったが、2007年9月からはモバイル用のレポートテンプレート「モバイルオプション」を加えている。

 このほか、無料のアクセス解析サービスとして、2008年8月にユーザーローカルが「うごくひと」をリリースするなど、モバイルアクセス解析市場は活性化している。

 日本国内におけるモバイル市場の今後の動向については、総務省発表の平成20年版情報通信白書のモバイルコンテンツ産業の市場規模から見て取れる。携帯電話の普及、端末機能の進展をはじめ、モバイルインターネットビジネスの市場規模の急拡大と共に、解析対象となるビジネスも増加した。このことは、前述したモバイルサイトに特化したアクセス解析ツールの増加につながっている。また、著者の所属するオーリック・システムズへのモバイルサイトの解析に関する問い合わせも実際に増えている。

 モバイルコンテンツ関連産業の全体規模は、2007年度に対前年度比23.5%増となり、ついに1兆円を超えた。この内訳を市場別にみると、モバイルコンテンツ市場が4233億円、モバイルコマース市場が7231億円となっており、それぞれ前年度比15.6%増、28.6%増と大幅に伸びている(図8)。

 市場規模が拡大している流れの中で、今後ますます数値による具体的な戦略が必要となっていく。これに伴い、モバイルサイトのアクセス解析の需要が拡大するとみている。

モバイルコンテンツ産業の市場規模 図8:モバイルコンテンツ産業の市場規模(出典:総務省 平成20年度版情報通信白書「コンテンツ市場の動向」) (※画像をクリックすると拡大します)

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