このような様々な制約に対し、著者が所属するオーリック・システムズの「RTmetrics」では、携帯電話端末の個体識別番号(UID)をキーとしたユニークユーザーの判別(図4)や、セッションIDをキーとしたユーザー行動の解析をすることで、アクセス解析ができるようにしている。
多少技術的な単語が入るが、セッションの説明を加えておく。HTTPプロトコルにおいてクライアントからウェブサーバへのリクエストする度に、クライアントとサーバ間でコネクションを成立させ、リクエストに対してレスポンスを返しコネクションを切断するというやり取りが繰り返される。ウェブサイトをブラウザで閲覧する行動は、基本的に該当ウェブサーバとこのやり取りを繰り返すことだ。ウェブサーバは来た問い合わせに関して答えているだけで、誰の問い合わせなのかを判別する手段はここには存在していない。つまりウェブサーバに対して複数のリクエストがあった際、同一のクライアントからのリクエストであるかの判別をすることは不可能なのである。
これは、ECサイトや会員サイトなどの個々の行動毎に個別にページを返す必要があるサイトの場合に問題となる。ウェブサーバに来訪者がログインした後、個々のクライアントからのリクエストを個別に判別しリクエストを返す必要があるからだ。これを解決するための仕組みはセッション管理と呼ばれる。
セッションを管理するための一般的な方法として、ウェブサーバが発行するセッションIDを利用する方法がある。来訪者がログインした際に、ウェブサーバ側から該当リクエストに対して個別のセッションIDを発行するのだ。ログイン後のリクエストに対して個別にレスポンスを返す際に、セッションIDをキーとしてウェブサーバのセッションを管理することが可能になる(図5)。
RTmetricsのアクセス解析においては、ユニークユーザの精度を向上させるために、携帯電話端末の個体識別番号(UID)に加え、各サイトの作りによって選択されている様々なセッション管理方法に対応している。
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