Googleのウェブブラウザ「Google Chrome」は、米国時間12月11日に、正式にベータ版から製品版へと移行した。
10日にパリで開催された「Le Web 08」カンファレンスにおいて、Googleのユーザーエクスペリエンス担当バイスプレジデントであるMarissa Mayer氏は、TechCrunchのMike Arrington氏とのインタビューにおいて、ベータ期間の終了に関して語ってはいたものの、その明確な時期については、何も具体的なことを明らかにしていなかった。しかしながら、Googleの関係者は11日、Chromeのステータスが、ベータ版から製品版へと移行したことを明示している。
非ベータ版のChromeを最初に手にするのは、Googleから、ダイレクトにChromeをダウンロードする新しいユーザーとなるだろう。また、現在Chromeを利用中のユーザーのうち、ごく一部ではあるが、11日に自動的にアップデートを入手できそうな人々もいるようである。残る他のすべてのChromeユーザー(Googleは、その数が1000万人に上るとしている)に関しても、12日中にはダウンロード可能となる。
もしアップデートを入手できるのかどうかをチェックしたければ、「Google Chromeについて」のページを確認してみてほしい。最新版を入手するために、ダイアログボックスから、強制的にアップデートを確認することも可能である。通常は、Chromeが自動的に、5時間の利用ごとにアップデートの有無をチェックするようになっている。
これまでのChromeベータ版では、合計14のアップデートが自動的に提供された。今回の15回目のアップデートにして、初の非ベータ版のリリースとなっている。
Googleの製品マネジメント担当バイスプレジデントであるSundar Pichai氏は、新たなChromeの製品版では、特にオーディオおよびビデオ再生に関して、「非常に多くのバグ修正」がなされており、再生時に「より安定した」動作が実現したことを明らかにしている。また、Chromeは、より高速化されてもいる。Pichai氏は、当初のリリース時と比較して、Chromeが(どのベンチマークを使うかにもよるが)1.4〜1.5倍は速くなったと述べている。
他にも新機能がある。ブックマークマネージャは改良され、数多くのブックマークを使う人向けに、より使いやすいものとなっており、ブックマークリストのインポートやエクスポートが容易になっている。プライバシーに関するオプションは強化され、すべてを1つのダイアログボックス上で設定可能になった。また、Chromeのセキュリティ機能が強化されている。
開発チームが現在も取り組んでいる新機能としては、フォームの自動入力やRSSフィードのネイティブサポート、「そして、その他もろもろの機能」があるという。また、Pichai氏は、同氏の率いる開発チームが、エクステンションのサポートと、Mac版およびLinux版のリリースに向けて、開発を進めていることを明らかにした。
Pichai氏は「すべての開発がオープンに進められている」と語った。好奇心の強いユーザーならば、Chromeの開発の進捗状況を、Chromium.orgにて確認するか、メジャーなアップデートではないベータリリースや、(しばしば数多くのバグも含まれる)日々の開発段階にあるビルドのダウンロードについても知らせてくれる「Google Chrome Channel Chooser」をインストールするように勧められている。Pichai氏は、特に近づくエクステンションのサポートに多大の興味を抱いているユーザーに対しては、常日頃から開発段階にあるビルドのダウンロードを試してみるようにと促している。
Googleの製品の中では、Chromeは、パブリックリリース後100日という、非常に早期のベータ期間終了を実現した。Pichai氏は、Chromeが現在、Googleの「安定性およびパフォーマンスをめぐる内部基準」に達するものとなっており、パブリックリリースが行われる前にも、Google社内で長期に及ぶテスト利用が実施されてきたことが、早期の製品版リリースへと至る鍵となったことを明らかにしている。
とはいえ、明らかにもっと多くのことも関係していそうである。比較のために、例を挙げてみるならば、Googleは、すでに何年もサービスを提供し、3度目のメジャーリリースが行われた「Picasa」を、つい先日ようやくベータ版から製品版へと移行した。「Gmail」は、何千万というユーザーがいるにもかかわらず、依然として現在もベータ版のままである。
Googleは、Chromeをめぐる壮大な計画および目標を掲げているのだ。Chromeが実際に広く普及するためには、企業での利用や、新しいコンピュータにプリインストールして出荷されることも不可欠となるが、そのためには、単にユーザーが安定性を確信するようになるのを待つだけでなく、Googleによって、製品版としてのクオリティを備えていると明示されることが求められてくる。そして、この目的を達成する上でも、たとえ言葉のニュアンスという意味合いしかないとしても、ベータ版から製品版へと移行することが必要となってくるのである。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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