Internet Explorer(IE)は、ウェブブラウザ市場を独占しているものの、そもそも多くの人々は、そんなにIEを気に入っているのだろうか?一方、「Flash Player」は、多くの人々が高い評価を下しているゆえに、業界で支配的な地位を築いてきた。では、いつの日かAdobe Systemsは、次なる論理的なステップとして、独自のウェブブラウザ開発へと進むことになるのであろうか?
このアイデアは、それほど現実離れしたものでもないようである。2005年にMacromediaの買収を完了した後、実のところAdobeは、このアイデアの可能性を試していたようである。
同社の最高技術責任者(CTO)であるKevin Lynch氏は、今週サンフランシスコで開催のカンファレンス「Adobe MAX 2008」につながるインタビューの中で、「われわれは独自のブラウザ開発を検討していた。われわれは、ウェブが持つ能力を高めていく手法について考察したのだ」と語っている。
一見すると、これはAdobeが、「アプリケーション、コンテンツ、動画を、可能な限り幅広い視聴者へ」提供するテクノロジとして、Flashを位置づけてきたことと、大いに合致するように感じられるかもしれない。しかしながら、このアイデアは、(さらなるMicrosoftとの対決へとつながる過程において)多くのリソースを注ぎ込むことが求められることをも意味しており、それが賢明な策であると経営陣を納得させるには至らなかった。Lynch氏は「われわれの主な関心事は、他者が優れたアプリケーションを構築可能な、優れたプラットフォームを開発することにある。すでに世の中には、十分な数のブラウザがそろっている」と説明した。
これは残念で仕方がない。1ユーザーとして、筆者は、もっと多くの選択肢が欲しいと願っている。たとえ市場においては、ごくわずかなシェアしか持っていないとしても、筆者は、MozillaやOpera、それにGoogleが、独自のPC向けウェブブラウザ開発を決定したことを、実にすばらしいことだと感じている。Microsoftの注目を集め、インターネットブラウジングという概念を、もっとクリエイティブにとらえるように促すことになるものなら何であれ、筆者は、すばらしいと思うのだ。
Adobeにとっては、クライアントシステム上で、同社のテクノロジを一層効果的に稼動させられる製品開発に臨むというアイデアは、魅力的なものであったはずだ。しかしながら、Lynch氏は、結局のところ、Adobeが開発するブラウザが、どれほど幅広く普及するかにすべてがかかっていると述べた。Googleでさえ、この目標の達成は、容易なものではないことに気づいている。
Lynch氏は「Googleがブラウザ開発へと踏み出したことは、賞賛に値する勇気ある決断である。わたし自身も、イノベーションに大いに期待している。だが、そもそも『Chrome』が、80〜90%のシェアを獲得する時など来るであろうか?一体どうすれば、そのようなことが可能になるのか、わたしには見当もつかない」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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