サブプライム問題に端を発する金融機関の業績悪化や景気後退、金融引き締め――企業にとって資金調達は極めて困難な状況にある。そのような厳しい環境下において、とりわけベンチャー企業やNPO法人が銀行からの融資を取り付けるための秘訣などを会計士が解説する「資金調達&金融機関対策セミナー」が、会計ソフトメーカーの弥生主催の「ETIC・弥生起業塾」で行われた。
企業の資金調達の方法は、金融機関からの融資だけではない。資本金や従業員数が一定の基準を満たすベンチャー企業であれば、“エンジェル税制”の活用が有効な手段となる可能性がある。この制度は、出資した個人投資家が出資額マイナス5000円の所得控除を受けることができる(ただし所得の40%または1000万円の少ない額が上限)というもので、最高で400万円の所得税減税が可能となる。セミナーの講師を務めた、ファシオ・コンサルティング代表取締役の八木橋泰仁氏は「知人・友人・取引先からの出資に威力を発揮する」と、この制度の活用を勧める。
また、創業時に利用できる助成金も有力な資金源の1つだ。企業の従業員から独立起業し、失業保険の受給資格がある場合には、労働局・ハローワークの「受給資格者創業支援助成金」により、創業後3カ月以内に支払った経費の3分の1(最高200万円まで)の援助を受けることができる。そのほか、人材を雇用した場合に、1人あたりの人材雇用に対して最高210万円までの一定額を助成する、雇用・能力開発機構の「中小企業基盤人材確保助成金」という制度もある。どちらの制度も独立前に雇用保険に入っていたことが前提となり、支給要件は年々厳格化しているが、返済する必要のない創業資金の調達方法として利用したい制度だ。
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