しかし、Windows 7がプライバシーに関してできることはすべて実行していると、誰もが感じていたわけではない。たとえば、ある出席者は、少なくとも、アプリケーションが位置情報を求めた場合にはユーザーに通知すべきではないかと提案した。
Berntson氏は、技術的には可能だが、それは現在MicrosoftのWindows 7のロードマップにはないと述べた。
公正を期して言うならば、Windows 7の位置情報サービスはこれまでよりも安全だ。というのも、これまでのバージョンのWindowsでは、確実に位置情報をオフにする方法はなかったからだ。
MicrosoftのリードプロダクトマネージャーであるDaniel Polivy氏は、「旧来のあり方では、警告もなければスイッチもなく、本当に何もなかった」と述べた。このような位置情報サービスの実現、またこれを土台にしたサービスの構築を手がける人がほとんどいなかったほどの扱いにくさだったとも同氏は述べた。
では、MicrosoftがWindows 7でやろうとしているのは一体何なのか。
低い次元で語れば、Microsoft製品はセンサとして新しいAPIと位置情報用の二次APIを備えることとなる。何が入手可能かによるが、さまざまなものを利用して、実際に位置情報を入手できる。もちろんGPSはあるが、Wi-Fiや携帯電話のセルラー三角測量にも対応している。これらは最低限の機能である。ユーザーが本当に位置情報サービスを必要としており、ほかに何もセンサを持っていない場合、位置情報を入力できる。
アプリケーションにより、入力された経緯度情報を利用して、さまざまなサービスを顧客に提供できる。マッピングは提供可能なサービスのほんの氷山の一角だ。しかし、これらのアプリケーションのほとんどは開発者次第だ。現在のWindows 7自体の唯一の位置情報サービスは、位置情報サービスが利用可能で、オンになっている場合に位置情報を利用する天気ガジェットだけだ。
ソニーVAIO事業本部ソフトウェア設計部門の課長である久保山正文氏は、自社の使用するシステムで何が起こっているか知りたいと思っており、位置情報サービスによって何が行われようとしているか知ることができればありがたいと述べた。しかし、ほとんどのコンピュータユーザーはわずらわしい思いをしたくないと考えているとも同氏は述べた。
「わたしの親類はPCで何が起こっているのかわからない。誰もが『自動でやって』と言う」(久保山氏)
同氏はまた、位置情報サービスによって開かれる可能性にも関心があると述べた。「『Netbook』向けのさらに便利なアプリケーションが登場するのが楽しみだ」(久保山氏)
Hewlett-Packard(HP)のソフトウェアアーキテクトであるTim Zinsky氏は、Microsoftは同社の位置情報APIで実現しうる機能をすべて提供してはいないが、さほど残念に思ってはいないと述べた。
Zinsky氏は、HPの意見ではなく、個人的な意見だと強調しつつ、どのアプリケーションが位置情報を利用しているか追跡する方法はあるかもしれないと述べた。
「Microsoftは位置情報APIの可能性を過小評価している。Microsoftなら実現できると思う」(Zinsky氏)
しかし、Zinsky氏はこれで構わないという。「Microsoftにすべて用意してほしいとは思わない。Microsoftにできなくても、たぶん、ほかの誰か、ほかの企業が実現するだろう」(Zinsky氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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