YouTubeはGoogleにとってロスリーダー(採算度外視の客寄せ商品)かもしれない。約8000万人の視聴者を獲得しているとはいえ、依然としてとんでもないロスリーダーだ。
メンバーによってアップロードされるたくさんの短編ビデオのおかげで、2006年のGoogleによる買収以降、YouTubeは急成長している。しかし、間抜けな猫のビデオにどのくらいの利益があるのか。いつものことだが、経営陣にとっての課題は、どのようにしてYouTubeの16億5000万ドルの買収金額の元を取るかということだ。
Googleは現在、少なくともこの問題の一部に答えるため、これまでと違う方法を検討している。筆者の同僚のGreg Sandoval記者が米国時間11月6日に報道したとおり、YouTubeは早ければ12月にも、おそらくはハリウッドのメジャーな映画スタジオによって制作された長編映画の配信を開始することになる。
YouTubeの親会社であるGoogleは、これまで数カ月に渡り、広告が入った、新たな映画のストリーミングサービスを立ち上げる計画について、複数のメジャーな映画スタジオと交渉してきたと、この件に詳しい2名のエグゼクティブが、CNET Newsに対して語っている。このエグゼクティブの1人は「それは今すぐの話ではないものの、いつかは実現するだろう。つまり、何もかもうまく行けば、今後30〜90日以内に実現すると期待してよいという意味だ」と述べた。
これにより、YouTubeは何よりも、長編ビデオの分野でNBC UniversalとNews Corpが形成した共同ビデオベンチャーであるHuluに対抗する競争力を強化できる。また、今回の変化は、金を出す側のえり好みが厳しくなっているという認識をあらためて浮き彫りにしている。ユーザー生成コンテンツは急増しているが、広告主はそれよりもプロが制作する作品に投資したいと考えている。
これは単なるひらめきなどではない。驚くのは、経営陣がこの結論に達するのに非常に長い時間がかかったことだ。あら探しをするつもりはないが、さらに驚くのは、たとえ機能強化されたワイドスクリーン対応のビデオプレーヤーを使っても、依然としてYouTubeは画質の面でHuluに劣っているということだ。自分が撮りたいものをホームビデオレコーダで撮影している分には問題ないのかもしれない。しかしこれは、極めて厳しい経済状況に震え上がり、どこに投資すべきか憂慮している広告主になってくれるかもしれない企業と話し合う際には、大きな問題になる。
というわけで、Googleのこれまでの取り組みが十分だったのかとするVentureBeatのMG Siegler氏の疑問は当を得ている。
もちろん、依然として、GoogleがYouTubeのビデオを金に換える効果的な方法を思い付いたという確かな証拠はない。そこで、大きな疑問として浮かぶのは、長編映画コンテンツはどう違うのかということだ。また、ユーザーがYouTubeのあまりよくない画質で長編映画を見たいと思うのかという疑問もある。低解像度で短編を見るのと、90分から2時間の長編映画をずっと座って見続けるのは、まったく別問題だろう。
技術的には、さほど難しい注文ではないと思われるが、Googleが解決策を見つけるのに時間がかかればかかるほど、YouTubeがポップカルチャー現象としてのステータスを失う危険性は高くなる。
著者紹介
Charles Cooper
CNET News.com解説記事担当編集責任者
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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