ロサンゼルス発--米国時間10月29日、基調講演のステージに登場したMicrosoftの研究部門担当シニアバイスプレジデント、Rick Rashid氏は、自分はMicrosoft製品だけでなく、Appleの製品にも関わりがあるという話題から話し始めた。
Rashid氏は当地でMicrosoftが開催しているProfessional Developer Conference(PDC)に来場した大勢の開発者に向かって、「正直言ってお薦めはしないが、この中に『Macintosh』または『iPhone』を使っている人がいるなら、その人はわたしが25年以上前に書いたコードを使用していることになる」と冗談を飛ばした。Rashid氏はカーネギーメロン大学に在学中に、「FreeBSD」の心臓部であり、現在は「Mac OS X」の中心にもなっているカーネル「Mach」の開発に関わっていた。
Rashid氏は、これこそ、コアテクノロジのアイデアが素晴らしい生命力を持っていることの証しでもあると強調した。
「もし25年前に、今(書いている)コードが25年後に携帯電話で使われるなどという(可能性)は頭にあるか、と尋ねられたとしても、当時のわたしの反応は『携帯電話って何?』だったと思う」と、Rashid氏は述べた。
「これは、長く生き残るものは確かに存在し、しかも興味深い方法で使われるようになるということを示すものだ」とRashid氏は述べている。
Rashid氏はこの後、研究部門から生まれた最新技術の一部を紹介する予定だ。(この基調講演の冒頭で、Microsoftは球面コンピュータ「Sphere」の中心部となるディスプレイを作った企業に謝辞を述べていたので、このあとSphereが紹介されるのではないかと思う)。
更新情報(太平洋夏時間午前9時12分):Microsoftは、Rashid氏が講演で触れる技術の一部をプレスリリースとして発表した。
Microsoftは、同社のソフトウェア「Worldwide Telescope」のアップデートを計画しているという。同社はまた、ソフトウェア開発者ツール「CCR and DSS Toolkit 2008」についても詳しい説明を行った。これは「疎結合の(Loosely-Coupled)並行および分散アプリケーションの開発を容易にする」ことを目指しているという。
そのほか、リリースでは、普通のプログラマーが大規模なPCクラスタで稼働する大規模なデータ並列処理アプリケーションを書けるようにするプロジェクト「DryadLINQ」や、「Boku」というプログラムの学習を支援する子ども向けのツールも紹介された。また、先日も記事で取り上げたサーフェスコンピュータ研究プロジェクト「SecondLight」に関する記述もあった。
いっぽう、Microsoftの研究員Feng Zhao氏は、コンピュータが世界のエネルギー利用の問題とどれほど深く関わっているかについて話した。たとえば米国では、2006年の米環境保護庁(EPA)の報告によると、全電気使用量の約1.5%がコンピュータ関連の機器によって消費されているという。ただしコンピュータは、暖房や空調といった他のシステムの効率改善にも利用できる。
Zhao氏は研究部門の取り組みから、センサーマップを紹介した。この技術を利用し、ここ数日のメインホールの室温状況が図式化された。Zhao氏によると、Microsoftはデータセンターすべてにこのようなセンサーを1万個設置しているという。
「これは(中略)顧客のためだ」と同氏は言い、「世界のためにもなる」と続けた。
更新情報(太平洋夏時間午前9時45分):Rashid氏が、「Worldwide Telescope」のアップデートについて話をした。Microsoftではこれを「分点」(equinox)アップデートと呼んでいるという。
今回のアップデート(すでに適用済み)では、月を探査したアポロ計画、火星を探査したマーズ・パスファインダーの両ミッションで撮影された新しいパノラマ画像55点などが新たに加わり、最初のリリースから提供データ量が2倍以上に増加している。
Rashid氏が、可視宇宙全体の画像など、さまざまな角度の画像を見せると、会場からは大きな歓声が上がった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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