MSの球面コンピュータ「Sphere」--研究者が語る将来性

文:Ina Fried(CNET News.com)
翻訳校正:ラテックス・インターナショナル
2008年08月01日 07時00分

 ワシントン州レドモンド発--要するに、Microsoftの「Sphere」は、「Microsoft Surface」コンピュータの発想を巨大な球体で再現したようなものだ。

 Microsoftの研究者であるAndy Wilson氏は、7月下旬に行われたCNET Newsのインタビューで、「基本設計は非常にシンプルだ」と述べた。2007年に発表されたテーブルトップのSurfaceコンピュータと同様、Sphereでは、入力用の赤外線カメラと出力用のプロジェクタを組み合わせて、マルチタッチコンピュータを生み出している。「鏡を利用して、カメラとプロジェクタで同じ光軸が使われるようにしている」

 しかし、テーブルトップと異なり、Sphereでは、台の上に球体ディスプレイ(直径18インチ(約45.7cm)、または直径2フィート(約61cm))が設置されている。この360度のディスプレイは一部のタスクには適さないが、ゲーム、マッピングといった用途では、平面ディスプレイよりも優れているかもしれない。しかし、現時点ではまだ研究段階だ。

 米国時間7月28日の報道の通り、Microsoftは7月29日遅く、レドモンドで毎年開催している「Faculty Summit」に参加する研究者たちにSphereを披露したのだが、これがMicrosoft外部の人たちがSphereを初めて見る機会となった。

 Microsoftは独自に球体コンピュータの概念を追求してきたが、ハードウェアの研究は単独では難しいと結論づけた。そこで、美術館、博物館での展示やマーケティングディスプレイなどの用途ですでに球体コンピュータディスプレイを市販しているGlobal Imaginationのテクノロジを取り入れることにした。「Magic Planet」という名前で知られている球体ディスプレイは、直径16インチ(約40.6cm)から高さ6フィート(約1.8m)まで、さまざまなサイズがあり、アクリル製で、特殊コーティングにより、投影された画像をくっきりと表示できる。

 球体を再発明する必要はなかったが、Microsoftは、ソフトウェアがコンテンツを検知、レンダリングする方法を変えるためにさまざまな研究を行った。

 「例えば、球体には直線はない。何かを直線上に動かすことはできず、球体の上を回転させるように動かすことになる」(Wilson氏)

ゲーム、マップなどへの応用

 利用について、Wilson氏は、球体は多くの用途で実用的でないが、特定のタスクに適したすばらしい特性を持っていると述べた。たとえば、球体コンピュータであれば、多くの人たちがそれぞれ異なるが、同じように有効な表示を見ながらコンピュータを操作できる。

 「球体の表示は平等だ。複数のユーザーが同時に利用することを想定した場合、この特性は興味深いものになる」(Wilson氏)

 また、誰もが画面の半分しか見ることができないという観点からも興味深い。「ゲームなどはおもしろいものになるだろう」(まずは、「Battleship」というボードゲームを想像してみてほしい)

 Wilson氏によれば、ゲームのほかに、片側を一般に公開し、もう片側には「個人情報を隠す」場合にも、球体ディスプレイが利用できる。

画像の説明
MicrosoftのAndy Wilson氏

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