Appleがこれらの広告を流す狙いは2つある。Microsoftの最高経営責任者(CEO)であるSteve Ballmer氏をいらだたせることと、Windows VistaがバグだらけのOSだという事実をアピールし続けることだ。アプリケーションとドライバの互換性に関するWindows Vistaの初期の問題はすでにきちんと説明されており、こうした問題の大半は過去のものとなっているのに対して、Microsoftは、Windows Vistaについて語るよりも「Windows 7」と「Apple税」(他のPC製品と比べて割高な価格設定のMacを買うことを「Apple税を払う」と表現する)というお決まりの話題に多くの時間を費やしている。
Appleとしては、Windows Vistaへの集中砲火を継続することで十分満足している。
実際、Windows Vistaにはマイナスイメージがつきまとっており、Microsoft自身もその事実を認めて、Windows Vistaのイメージ回復プロジェクトである「Mojave Experiment」を展開せざるをえなくなった。その原因が、Appleにあるのか企業のIT部門にあるのかは、問題ではない。Appleは、発売当初にWindows Vistaが消費者に敬遠された点をとらえ、これを執拗に突いてきている。一方、Microsoftは2年間ただ手をこまねいて座視し、「Windows Vistaはそれほど悪くない」「われわれは不当な固定観念を持たれてきた」「Windows 7を待つのもよい」といった一貫性のない発言を繰り返してきた。
だが、ネガティブ広告は、米大統領選挙が行われる年には効果的だが、次第に新鮮味がなくなる。それにこうした広告は、大半の消費者が気にもかけていない「われわれ対彼ら」という、ひどく時代遅れのオタク的思考にとらわれている。ほとんどの米国人は、AppleとMicrosoftがそうであってほしいと思っているほど、人がどこのパソコンを使っているかなど気にしない。
今回の新しい広告を見て、大方の視聴者はくすりと笑うだろうし、Hodgman氏とJustin Long氏という粋なお笑いコンビから、MicrosoftのCMに出演したBill Gates氏とコメディアンのJerry Seinfeld氏が1、2学べることはあるだろう。だが、Appleが新しいOSの投入でへまをするようなことが起こらないように祈る。なにしろ、Appleのおかげで、Microsoftはそういう事態への対処法はしっかり学んだのだから。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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