2008年第3四半期は終盤こそ経済不安が始まった時期になってしまったかもしれない。しかし、四半期全体では、ベンチャー投資が堅調だった。
PricewaterhouseCoopers(PwC)と全米ベンチャーキャピタル協会(National Venture Capital Association:NVCA)が米国時間10月18日に発表した「MoneyTree Report」によると、ベンチャー投資家たちは第3四半期に900件以上の案件に総額71億ドルを投じたという。総投資額は今までを振り返っても標準の範囲に収まっている。
しかし、警鐘を鳴らす声もある。
「ベンチャー投資は全体では金融市場の混乱の影響をまだ受けていない。その証拠に第3四半期では70億ドルを超える投資があった。今後、複数の四半期にわたって投資が落ち込むだろう」とPwCのグローバルマネージングパートナーTracy T. Lefteroff氏は声明で述べた。
第3四半期の投資額は第2四半期(1033件で77億ドルの投資額)から7%落ち込み、依然として減少基調にある。しかし、1案件当たり平均の投資額は5%増の7800万ドルとなる。
第3四半期の初期投資額の総計は15億ドルを記録した。第2四半期と比較すると12%の落ち込み。初期投資の案件数は322件から259件に減少した。初期投資の平均額は570万ドルで、第2四半期の520万ドルから上昇した。
同四半期に最も多くの投資案件があったのは、ソフトウェア分野。ソフトウェア分野でベンチャー投資資金を調達した企業は214社。これは、114社で2位につけたバイオ技術業界のほぼ2倍の件数。しかし投資額ベースではバイオ技術分野が13億5000万ドルを調達し、13億4000万ドルを調達したソフトウェア分野を追い抜いた。
ネット専門企業への第3四半期の投資額は大きな落ち込みを見せ、案件194件に対し調達額は11億ドルという結果だった(第2四半期は251件で16億ドル)。もっとも、第2四半期の投資額はここ7年間で最高額だったことや、第3四半期まで9期連続でネット専門企業(業種によらず基本的にネットがビジネスモデルの基盤である企業)に10億ドル以上の資金が流れ込んでいる点は考慮すべきだ。
クリーン技術分野への投資額は第2四半期から14%伸び、73の案件に10億ドルが集まった(第2四半期は68件で8億8700万ドル)。クリーン技術分野への投資額が10億ドル以上を記録したのは2回目のことだ。同リポートによると、クリーン技術分野には代替エネルギー、公害対策、リサイクル、電力供給、環境保全に取り組む企業が含まれている。
投資金額が上位2つの案件ならびに上位10位のうち4つの案件がクリーン技術分野に関するものだった。
「2009年のベンチャーキャピタルの投資をけん引するのはクリーン技術分野だろう。同分野は経済不安にもかかわらず成長を続け、2012年までにベンチャーキャピタル業界でトップの投資分野になる可能性がある」とNVCAのMark Heesen会長は声明で述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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