分解してわかった、PRADA Phoneの秘密

永井美智子(編集部)2008年10月24日 19時34分
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 ファッションブランドが携帯電話に参入する例が増えている。auからはCOACH(コーチ)のデザインに携帯電話を変えられる「COACH Mobile Phone」が11月下旬に登場。ソフトバンクモバイルはティファニーとコラボレーションした、合計20カラットのダイヤモンドをあしらったモデルを販売する計画を持っている。

 このほか、NTTドコモからは、PRADAとLG電子がコラボレーションした「PRADA Phone by LG」が6月から販売されている。PRADAのシックなデザインと、全面タッチパネルのインターフェースが話題を呼んだ。

 今回、CNET JapanではPRADA Phoneの分解に挑戦した。その結果、PRADA Phoneの真の開発コンセプトや、日本市場に合わせた同社の苦労を知ることができた。なお、PRADA Phoneのパッケージデザインやタッチパネルを使ったインターフェースについては、「PRADA Phone開封の儀--iPhoneと比べてみました」と「iPhoneとPRADA Phone、入力インターフェースはどう違うか」を参照いただきたい。

PRADA Phone PRADA Phoneを分解した様子。カッチリとつくられた、無駄のないデザインだ

海外仕様と大きく異なる「PRADA Phone」

 今回、PRADA Phoneの分解によって明らかになったことは、海外向けのPRADA Phone「KE850」と、NTTドコモ向けの「L852i」は、見た目こそ同じであれ、中身はまったくの別物だということだ。

 それは2つのことから判明した。1つは、海外モデルに搭載されているいくつかのモジュールが搭載されていないこと。そしてもう1つは、国内モデルにしか搭載されていないものがあるということだ。

 国内モデルではBluetooth ICのほか、GSM/GPRS/EDGEという海外で採用されている第2世代携帯電話用のアンテナなどの部品、GPSのアンテナなどの部品が搭載されていない。その代わりに、FOMA用充電口やヤマハ製のオーディオIC「YMU800-P」が追加されている。

 今回取材に協力してくれた、ある国内電子部品メーカーの技術者は、発売元であるNTTドコモの仕様に合わせるための措置だったのではないかと話す。基板はBluetoothやGPSのモジュールを搭載できるようにもなっており、国内モデル、海外モデル共に同じ物を使っていると思われる。日本向けにメニューなどを日本語化し、またiモードを利用できるようにするなどのカスタマイズが必要だった分、機能を落とすことでコスト低減を図ったのではないかという。

実は「オーディオプレーヤー」だったPRADA Phone

 PRADA Phoneの大きな特徴の1つとして挙げられるのは、2つの基板が重なって入っていたこと。片方の基板には通信用のモジュールが搭載され、もう片方にはオーディオ用のICが搭載されている。オーディオ用ICはNECエレクトロニクス製の「uPD99913」と、ヤマハ製の2つ。ヤマハ製のものは、搭載されているオーディオDAC(デジタルアナログコンバータ)にD級アンプと呼ばれる、デジタルデータをアナログ出力に変換するICとオーディオ用のアンプが統合されており、NECエレクトロニクス製のものより性能がよいことから採用したのではないかというのが、前述の技術者の見立てだ。

audio.jpg オーディオ用ICは、NECエレクトロニクス製の「uPD99913」(水色で囲った部分)とヤマハ製のオーディオIC「YMU800-P」(赤色で囲った部分)

 基板は少ないほうがコストが下がるため、ストレート型の端末では基板を1つにするのが主流だが、PRADA Phoneはあえて機能に応じて分けていた。

ダイナミックスピーカー PRADA Phoneに搭載されていたダイナミックスピーカー

 また、一般的なスピーカーに使われているダイナミックスピーカーを搭載している。携帯電話の通話用スピーカーには音質の劣るセラミックスピーカーが採用されていることが多いが、PRADA Phoneでは音の良さにこだわったようだ。

 こういったことから、前述の技術者は「PRADA Phoneの開発コンセプトは『オーディオプレーヤーケータイ』だったのではないか」と推測する。さらに、「Bluetoothを搭載して、対応ヘッドフォンなどを付属させ、無線で音楽が聴けるなどの機能をアピールできれば良かったのではないか」と語った。

ネジはわずか4本

 PRADA Phoneの分解は、実はかなり苦戦した。というのも、ネジがわずか4本しかなかったためだ。ほとんどの部品は接着剤ですき間なくくっついていた。「これほどカッチリと作ってある韓国製端末は初めて見た。筐体の金型に、かなりお金をかけているようだ」と前述の技術者は話しており、ハードウェアだけで1万5000円から2万円程度の原価がかかっているとみられる。

 なお、メインプロセッサには米Qualcommの「MSM6280」を採用していた。現在のハイエンド機種では「MSM7200」などを採用するのが主流になっており、MSM6280はミドルレンジの端末で使われている。これも原価低減策の1つと言えるだろう。

 今回、端末の分解の様子は動画「高級ブランドケータイ「PRADA Phone(L851i)」を分解するまで」にて紹介している。また、分解した部品の写真は「NTTドコモ「PRADA Phone(L851i)」を分解--高級ブランドケータイの中身は?」に掲載している。

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