Web 2.0の次に来るもの--経済危機を技術革新のチャンスに - (page 2)

文:Richard MacManus
翻訳校正:ラテックス・インターナショナル
2008年10月22日 07時00分

倹約はするが、心は開いて

 10月に入って、一部の有名投資家(VC)が、経済への最初の対応として、金融引き締めを提唱した。Web 2.0への過剰な期待とお祭り騒ぎのような日々を考えれば、この助言に不信感を表明するものは少なくない。ニューヨークの投資家であるFred Wilson氏は米国時間10月11日、Bernard氏が同氏のブログに残したコメントを受けて、経済危機以来、同氏やほかの投資家が行ってきた助言を擁護する記事を投稿した。基本的に、この助言は、万一に備え、支出を減らし、Wilson氏の言葉によれば、「責任を持って行動し、再度戦いに挑むため、生き残るよう努力する」というものだ。

 特にWeb 2.0の大半はコンシューマアプリケーションだったため、極めて常識的な助言だ。筆者はエコノミストなどではないが、当然のことながら、金融引き締めという状況では、消費者の支出が減り、その結果、コンシューマウェブアプリケーションに大きな影響が及び、この影響はエコシステムのほかの部分に広がっていくだろう。

 しかし、技術者や起業家、投資家はこの危機をより長期的な視点でもとらえている。Sramana Mitra氏はForbes誌に、技術革新の機会をいくつかまとめたすばらしい記事を投稿した。「Open Letter to the Leaders of Silicon Valley」(シリコンバレーのリーダーたちへの公開書簡)と題された記事の中で、Mitra氏はまず、Web 2.0をもたらした技術革新の背景について触れ、次に、教育や医療、社会保障のためのテクノロジを創造するうえでの課題について述べた。例として、同氏は医療および教育分野での機会を挙げた。

 「Steve Jobs氏の『iPhone』によって、スマートフォンへの移行が進んでいるが、2500億ドルの医療行政支出を減らすことのできる、医師と患者、保険会社の間にシームレスな架け橋を築くことはできないだろうか」

 「また、親が参加し、『MySpace』『World of Warcraft』と同様に『エデュテイメント』で子供たちを引きつける、全米、あるいは全世界の教師のための標準化されたコンテンツと教育方法の母体をインターネット上に創設できないだろうか」

 Tim O'Reilly氏は、2008年に入って「Web 2.0 Expo」で新興企業が「大きな困難」に取り組むことについて講演して以来、同様のプロジェクトに取り組んでいる。同氏の中核となるメッセージは、「問題になっていることに取り組む」だ。

次に来るものは何か

 Read/WriteWebでは2008年、主流のウェブアプリケーションやHealth 2.0などについて取り上げてきた。しかし、その対象の大半は新興企業やインターネット企業であり、表面をなぞってきたにすぎない。経済の問題がテクノロジの世界に影響を及ぼし始めており、Read/WriteWebはこれまで以上に、胸躍る新しいウェブ革新時代に関する記事の掲載に努力していく予定だ。これからは厳しい時代だが、同時にチャンスもある。

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