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ウェブメディア6人の編集長がIT業界の将来を議論 - (page 3)

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企業向け有料サービスの価格は個別対応へ

林氏:

 コードを書くという意味では、iPhoneやAndroidで一発当てられるんじゃないかとか、Salesforce上で動くアプリケーションで儲けられるのではないかとか、これまでとは異なるビジネスマインドでコードを書こうという動きが出ているのではないかと思うのですが、そのあたりどうですか。

冨田:

 私は、あまり変わらないと思います。昔からドネーションウエアとかシェアウエアとかの世界は確固として存在していました。App Storeでプラットフォームに特化したものをリリースするとか、Androidで課金制の何かを配信できるとかの話は、長い目で見れば昔とあまり変わらないと思います。

 ただ、現状では、無料で使えるアプリケーションに人気が集中しているのが実態です。例えば、米Salesforce.comや米OracleのiPhone向けアプリケーションです。この2社は、今のところは無料でリリースしていますが、もしこれらが有料だったら、現在の人気がどうなるだろうかと、逆に興味を持っています。

林氏:

 サービスの無料化とバリュー・チェーンについて、どう思いますか。例えば、米Googleは広告収入が大きいから、ユーザーにはソフトだけでなくデバイスさえも無料で配れてしまうかもしれない。このようにサービスを実現するための原価とは無関係に、無料で使えるサービスがどんどん生まれるかもしれませんよね。

三輪氏:

 ブログも同じで、無料で記事が読めます。自分のブログのページビューが落ちることに危機感を覚える人は、必死に調べて記事を書きます。そうすると、我々のような職業で記事を書いているプロよりも詳しい情報を提供していたりします。知らない間に翻訳が出てきたりとか...。そういう世界に行ってしまうと、我々プロは、どれだけ人材を割り当てれば彼らに追いつけるのか、という問題が出てきます。

浅井氏:

 インターネットから得られる情報は必要十分でスピーディですが、人間というのは、必要十分では満足しないんじゃないかな、と常に思っています。必要十分という価値観とは異なるところから、色々なモノが生まれている気がします。

 エンタープライズ領域の最近のトレンドとして、ソフトウエアの価格体系が、例えば米Microsoftのような複雑なモデルではなくなっています。現在ではベンダーとユーザー企業が話し合って包括的な料金を決めるという米Oracleのような例もあります。グローバルな価格体系で言うと、すでにそうなっています。自分たちの企業が成功したので、それに対してこれだけの報酬を払いますという“成功報酬型”の包括的な契約の仕方が、将来は主流になるのではないでしょうか。

 先ほど話が出た何でも無料で提供するというやり方は極端です。お互いに納得感のあるところでバリューに対して対価を払うのが、最も健全です。革新的なことは、対価を支払う世界から生まれると思います。

林氏:

 10年前と比べると、ITを利用する側から見た環境はすごく良くなっていると思います。その一方で、それを支えるIT業界の人たちが、ちょっと元気を失っていたり、ビジネス的にハッピーでないのは寂しいことです。ビジネスとして成立しないと、最終的には壊れてしまうのではないかと心配です。

別井:

 対価が入らないと会社が潰れてしまうのは、みんなが意識していると思います。全部が無料で使えたら「気持ち悪い」と思うのが、普通だと思います。

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